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仮暮らし

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

またもや投稿遅れました!すみません!

本日二話投稿出来るよう努力します!

読んでいただければ嬉しいです。

 


 部屋に入った時に慌てて床に置いた荷物を取る。そこそこの大きさのある箱だ。カインは箱を開け食料だけを取り出すと、その箱をレイティアに渡す。



「中には何日分かの衣類が入っているはずだ。ちょっと女性の服は分からなくて、他の人間に見繕ってもらったんだが…。もし不足や不備があれば言ってくれ」

「ありがとうございます!不足なんてありません。今のに比べれば、大抵のものは素晴らしく見えますから」

「万が一に備えて貴族という身分を隠すように、豪商の娘くらいの服装らしい。ちなみにレイティア嬢、ここにいる間侍女はつけられないが着替えや食事は一人で問題ないか?」

「問題ないです。私、思ったより箱入りじゃないんですよ?結構一人で出来る事もあるんですから」



 レイティアはそう答えてにっこりと笑う。心の中では、カインが服選びに困っている様子を想像して微笑ましい気分になっている。


 ―公爵令嬢って、常に人を使ってるイメージなのかしら?私が自分で乗馬服に着替えて鞍をのせて乗馬してるって言ったら、イメージ丸崩れかしら。とりあえずしばらくはおしとやかな風に過ごしておきましょうか―



「助かるな。じゃあ服を着替えて、食事を取っていてもらえるか?豪勢な食事じゃなくてすまないな。夜にまた顔を出すから」

「…はい。わかりました…」



 レイティアが目に見えてしょぼんとする。カインは無視することが出来ずに、慰める。



「いや、あの、なんだ。まぁ他の宿泊客が近くにいないとわかれば、ちょこちょこ顔出すようにするよ」

「…一緒に食事は取ってくれないんですか?」

「その予定は無かったんだが…」



 レイティアがちらりと上目遣いで見てくる。無意識なんだろうが甘えた表情で、今の格好とも合わせてカインは余計なことを考えそうになって動揺した。帝国騎士が形無しである。



 ―今は勝てる気がしない―



 カインは溜め息をついて諦める。



「…分かった分かった!とりあえず今は一緒に食べるから!」

「ありがとうございます!…食事って誰かと食べるから美味しいと思うんです。豪華な食事でも一人で食べれば美味しくないし、みんなで食べればなんだって美味しいんです!」

「俺も家族が多いから、少しは分かる気がするな」

「ですよね?!というわけで、一人で食べても味気ないのでカイン様も一緒に食べて下さい」

「わかった、だけどその服じゃ飯食べにくくないか?俺は一旦、別部屋に戻って20分くらいでまた出直すから」



 レイティアか思案しながら部屋を見回す。殺風景な部屋だが、隅の方で何かを見つけた。



「でもわざわざ出直す程でもないです。これがあったので!」



 レイティアが隅からガタガタと持ってきたのは、衝立てのようなものだった。もしかすると、眩しいときに日除け代わりにしたり来客時の間仕切りにしたりするのかもしれない。



 ともかく丁度良いものがあったとドヤ顔でレイティアがいうには。



「一部屋しかないですが、これで仕切れば私は向こう側で着替えられますし!カイン様には食事を進めてもらえます!」

「はぁ!?」



 ギョッとして思わず声が出る。例えば騎士団内では女性騎士と着替えなど共にする場合は、信頼があるので同じ部屋でも互いに背を向けて着替える。もしくは今のように軽い仕切りで着替えたりする。なんなら男性騎士と同じ場所で着替えようが全く気にならない、特殊な女性騎士もいることはいる。



 だが、レイティアは貴族令嬢だ。着替えの部屋が無いばかりか、男性と同じ部屋で着替えるなど考えられない。というか、平民でもあり得ない気もするが…。更には侍女もつけずに、平民の服に着替えられるという。公爵家は一体どういった教育をしていたのだろうか。カインは頭を抱えたい気持ちになった。



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