守るとは
こちらが本日分の投稿となります!
本日2話投稿となりましたので、未読の方は前話からお読みいただければと思います。
よろしくお願いいたします!
クレイとの会話を思い出しながら、レイティアに話していく。
「それで、上司に相談したらレイティア嬢の状況を理解して、このまま保護することを認めてくれた。直近はこの宿に隠れて、俺が護衛任務に就くよ。」
「保護に、護衛…ですか?私に?」
「王国内の詳しい状況はまだ調査中なんだが、追手がいたことを考えればレイティア嬢を一人にはしておけないだろ?」
レイティアは元々一人で逃げるつもりだったので、自分の為に誰かの手を煩わすの申し訳無く思ってしまう。だが結局は昨夜もカインに助けてもらっているのだから、ある意味現実が見えていないとも言えるが。
「そうですかね?」
「そうだ、すぐ捕まるからな?昨日は俺がいたから運良く助かっただけだぞ!?」
「す、すいません、」
「レイティア嬢の希望通り、王国外への脱出が出来るか、いつになるか、そういった所は不透明で申し訳無い…それに」
「それはいいんですが、他にも何か?」
「実は……俺はこの国に任務の為で来ただろ…?」
カインはしばし言い淀む。レイティアを自らの手で護衛するに当たり、ある程度の信頼をして欲しいと思っていた。昨夜の、名も知らぬうちの出来事とは違う、お互い名乗り合いこれから同じ目的のために共に行動するのだ。そしてその為には、ある程度の真実を告げないとフェアではないと思ったから。
「話しにくいなら、無理に話さなくて大丈夫ですよ?私は今現在、カイン様に助けていただけて命を繋いだようなものなのです。私がカイン様を非難したりすることはありません」
「命を繋いだまでは言い過ぎだ。だが、そう言ってもらえてありがたいとは思う。うん、きちんと説明をしたいんだ。…レイティア嬢に軽蔑されるかもしれないがな…」
「フフッ。ですから、私の心情など心配なさらないで下さい」
レイティアの言葉はありがたく思うが、実際に詳細を告げたらどう感じるのか。彼女を傷付けてしまうのではないか、カインは心配だった。そして本当は自らの心の奥に「彼女に嫌われたくない」という思いがあることに、気付いていなかった。その思いが何よりも強かったというのに、自分のことには案外気付けないものだ。
「…俺の任務は情報収集というか、そういった類いのもので。今回は近頃帝国の国境付近で不審な動きをしている人物を調べに来た。その人物が何を狙っているのか、単独犯とは考えにくいから繋がっている人物は誰なのか、まぁそういった事だな」
「カイン様は諜報部隊なんですね。そして国境と言うとメイルース伯爵領ですか」
「はっきり言わないように濁してたんだが…レイティア嬢は王太子妃だもんな、それくらいは認識してるか」
レイティアが難しい顔で何かを考えている。ひょっとして何かしらの情報があるのかとカインは思ったが、レイティアが申し訳なさそうにそっと挙手した。
「すみません。私は王太子妃ではありません。なったことも、今となってはなりたくもありません。そこだけは訂正させてください」
怒っている訳ではないようだか、レイティアは静かにでもはっきりと発言した。
「す、すまない!失言だった!そうだな、候補だった…?ということにしようか」
「それでお願いします。話の腰を折るのは分かっていたんですけど…。あんな人の妃だったと認識されてしまうのも嫌で」
「そうだよな。本当にすまなかった。」
レイティアは続けて下さいとでもいうように、ニコリと笑った。
「まぁとにかく、それを調べている途中にレイティア嬢にぶつかって今に至った。そこまではいいか?」
「はい。理解出来ていると思います」
そしてカインは、いよいよ本題に入るのだった。




