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王宮脱出

拙いながらも頑張りますので、お付き合いよろしくお願いいたします。

 


 必死で王宮の廊下を駆け抜けて、メイドや侍女など使用人たちが使う通用門を目指す。通用門であれば、入る時に門番の身分照会はあれど出て行く分にはほぼノーチェックである。



 普通の貴族令嬢では通用門の場所や門番の有無まではわからないだろうけど、なにせ6歳から王太子殿下の婚約者やっていたのではっきり言って下手な使用人より王宮には詳しい。



 ―十年婚約者やって、最終的には濡れ衣で断罪されるって一体…―



 それはさておき。



 通用門が近くなると本日は夜会だけあって、行き交う使用人達の姿もそこそこ見える。そんなところでご令嬢がヒールを脱いで全力で走ってたらさすがに不自然なので、一旦履いて呼吸と乱れた髪も整える。



 呼吸が整ったら、あまり人目に付かないように足早に通用門を目指す。とは言っても皆仕事をしてるのだから、誰にも見つからないのは難しい。たまに「なぜ?」という顔を向けてくる者もいるが、ビクビクせずにあえて堂々としてニッコリ微笑む。



 すると、そんなものかと思われ案外声も掛けられなかったりするのだ。そうやって使用人の目もすり抜けてようやく通用門までやってこれた。想定内だが、やはり門番が二人いて夜に突然やってきた私に声を掛けてくる。



「失礼します。お名前をお伺いしても?」

「構いませんわ。レイティア・ゴードリックと申します。」



 門番達が軽く目を見張って見つめ合う。さすがに王太子の婚約者ともなると名前は知られている。



「レイティア・ゴードリック公爵令嬢ですか?!ミハイル殿下の婚約者の?」

「ええ、そうね。今日は公爵家の都合があってこちらから出るように言われているの。」

「そ、そうなのですか。かしこまりました。どうぞお通り下さい!」


 公爵家の都合って何だよ、と思いながらも門を通り抜ける。


「お仕事ご苦労様。ありがとう」

「お気をつけて」



 ついに王宮の外にまで来ることが出来たが、ここからが本番だ。気を緩めず、迅速に逃走することを目指す。



 ―さぁ、これから何処に行こうかしら―



「公爵邸に戻ればすぐにわかるだろうし、まずは王都を出る事を考えるべきよね」



 もっとも早く王都を抜け出せて、逃走の痕跡が残りにくいのはやはり下町だ。貴族街を通る道もあるが、王国の警備隊などもよく巡回しているし見付かる危険が高まるだろう。



 これから向かう場所が決まれば、あとは全力で走るのみだ。門番達からかなり離れ姿が見えなくなったことを確認する。そしておもむろにヒールを脱いで、王宮の外壁をぶっ叩く。その衝撃でヒールの踵部分がポキッと折れる。



 もう片方も同じようにして、これで走りやすい靴の完成だ。さすがに普通の道を靴無しで走るのは無謀なので。あとはマーメイドラインの裾を持って思いっきり力を込めて…引き裂く!



 ある程度足が動きやすくなるようにスリット状に大きく裂け目を入れる。足を上げ下げし、動きに問題が無いか試す。しっかりと足を動かせるようになったが、まだヒラヒラして邪魔な裾を握りしめる。



 これが平常時なら公爵家のメイド達が泣いてしまうようなとんでもない格好だが、捕縛予定の犯罪者(冤罪)としてはまだましな方だと思うようにしよう。

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