しばし待機
昨日は投稿が間に合わず、すみません!
これからも頑張ります。
カインはレイティアに浄化魔法をかけた後、部屋のドアにも魔法を展開してから出ていった。何となくいってらっしゃいませと声をかけてしまったが、カインははっとした顔でわたわたしていたがあれは何だったのだろうか。
浄化してさっぱりしたところで軽食を食べ、レイティアはやっと落ち着ける気分になってきた。昨夜から怒涛の展開過ぎて、休むどころの騒ぎではなかったのだ。
「昨日の朝には、こんなことになるなんて想像もしなかったわ…」
ミハイルに婚約破棄され、逃走を図り、カインとぶつかって今ここにいる。カインとぶつかってなければ、今頃どうなっていたことか。
出会ったばかりだが、レイティアはカインを信頼に足る人だと思っている。だから全てを打ち明けた。先の事は不安しかないが、相談にのってくれる人がいると思うだけでほっと出来る。
―仮にカイン様が戻らなくても責めようとも思わないわ。ここまで助けていただいたし。…でも、きっとカイン様は戻ってきてくれる。私の服まで気にかけて持ってきてくれるなんて言っていたし。フフッ―
見た目完璧の素敵な騎士が、女性ものの服を探して持ってくる所を想像するととても可愛らしい。カインがいつ頃戻るかはわからないが、それまでにレイティアとしてもこれからどうしたいかしっかり考えなければ。
そんな事を思っていたのだが、実際には疲労困憊だった訳で。ベッドの上にいれば自然と瞼が重くなり、いつしか眠りに落ちていたのであった…。
――――――
広い庭園の隅に、小さくなって隠れている女の子がいる。プラチナブロンドの髪と紫色の瞳が印象的だ。かくれんぼをしていたのか、彼女を呼ぶ声が近付いてくる。
「レイティア、レイティア!どこなんだい?」
あまりに真剣な声色に、女の子は思わず笑ってしまう。
「うふふっ」
彼女を探していた人物にもその声が聞こえたのだろう。声が聞こえた方へ駆け寄る。茂みのような場所にようやく女の子の姿を確認して安堵する。
「やっと見つけたよ、レイティア」
女の子を抱き上げながら、その人物が言う。二人の髪と瞳の色はそっくりだが、女の子よりは幾分年上ようだ。うっすら額に汗ばんでいるのは必死に探していたからなのだろう。
「お兄様、ずっと待っていたのよ」
「待たせてすまないね。でもレイティアはかくれんぼが上手すぎるよ。そもそもここまで入ってこれないようになっていたと思うんだけどなぁ」
「なぁに、お兄様?それより、早く行かないとおやつの時間に遅れちゃうわ」
ぶつぶつ言う兄の腕からスルリと抜けて、女の子は駆け出した。それを見て慌てて兄も追いかける。
「レイティア、ちょっと待って!また見失ったら大変だから一緒に行こう!」
「わかったから、お兄様早く早く!」
わかっているのかいないのか、女の子はどんどんと先に駆けて行くのであった。
――――――
場面が変わって次は立派な邸宅の中に女の子がいる。広々とした邸内には適度に家具や調度品が置かれている。センスよく配置されたそれは、実は一つ一つがとても貴重な品や高級品だったりした。裕福な家なのだろう。
その邸宅の応接室に、家族らしき姿が見える。先程の女の子もいるがもう少し成長していて、少女といった面立ちだ。少年もいるが、それもやはり先程の男の子の成長した姿だ。
―小さい頃のお兄様だわ?お父様とお母様もいる。私があんな疲れきった顔してるなんて、もしかしてあの時かしら?というか私、夢を見てるのね…―
少女になったレイティアが家族と共に応接室にいる。先程まで王家からの勅使が来ていて、皆で対応していたのだ。勅使が届けた国王の手紙の内容は、宰相からの強い要望によりレイティアに魔力測定を受けさせろ、というものだった。それも三度目の。




