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プロローグ
その日、加賀美和平は一生を終えた。
十六歳だった。まだ高校生。
高二の七月のこと。
さあ夏休みだ! でも補習だ……。
さながらジェットコースターの如く、一喜一憂する普通な男子高校生ではあったのだが、文字通り、突如として人生の幕を閉じた。
何が起きたのか。和平には、一つとして分かることはなかった。
覚えているのは、窓の外にうだるような暑さが顕在しているのを、うんざりとして眺めていたこと。その時、一学期最後の登校の準備を進めていたこと。
そして――窓の外が、やけに明るくなったこと。
死の予感どころか、痛みさえもなく、
「ここ……。どこだ……?」
加賀美和平は、転生を果たしたのである。