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眼鏡少女と猪豚オークの出会い

オークのおやっさんのありがたいお話、それに奮起するのは眼鏡少女ッ!!


【この作品はネタ作品ですが、マジで次へを毎日連打してくれると助かります!! ある意味で皆さんと世界一な作品に仕立てましょう!!】

 突然だが俺はオーク、ファンタジーではありふれた豚の雑魚モンスターではあるが、訳あってここのギルドの受付を任されている。


 そういやお前さんはここは初めてか?

 いやなに、見ない顔だったもんでな……ついつい。

 ならば突発的で申し訳ない、話は少しそれて前置きが長くなるが……そうだな、【強さ】とはいったいなんだと思う?


 どんな敵をも一撃で粉砕する神のような力か?

 それとも絶対にダメージを受け付けない無敵の肉体か?




 無論、これも強さだろうな……。




 ただし、それはあくまで模範解答に過ぎないッ!!


 この世界において【強さ】とは何かと聞かれたら【己の小説の評価やPV数】等で決まるってしまうと言う事だ。

 読まれることで認知され強さを得る……というシステムは他の異世界においては例を見ないだろう。


 どんなに頑張って面白い作品を作ろうが読まれなきゃ単なる自己満足なゴミ同然。

 だってそうだろう。




【現に読まれてないんだから】




 俺の作品は他のヤツらとは違うんだとテンプレから外れたことを少しでもしてみろ……ちょっとでも鬱な展開や努力パートを入れるとどうだ?

 ほら見ろ言わんこっちゃない、読者は簡単に見切りをつける。


 読者達はなァ、現実ではうまくいかないからこそ仮想の自分に見立てて成り上がる夢を見るもんだ。

 苦労も無しに最強になってイヤなヤツを見返したりやっつけたりしたいだろう?

 可愛い女の子を簡単に手に入れてちやほやされて嫉妬の目で回りから見られ優越感に浸りたいだろう?


 隠すな、無理をするな……悪いことじゃないんだから。






 おっと、話がそれまくったが見てみろよ。

 この世界の残酷さが今に目に見えるぞ。


「0時 ノ 自動投稿 ニ 移リマス。」


 時間指定の自動投稿ロボが作者達の変わりに投稿してやがるぜ。

 何百、何千と言う作品が更新されて行くなかで読者が見てくれるのは目に見えた上澄みだけ。

 これがどう言うことかわかるかい?


 仮にお前が読者なら……。




【スクロールという面倒な手間書けてまで読みたいか?】




 これに尽きる。

 ならどうすれば良いんだと思うだろう?


「オッス、オークのおやっさん……これ、今日のぶんな!!」


 大人気作家の一人が早速良い例として来てくれたな。


「毎日ごくろうさん。 疲れるだろう、読者のニーズに応えながら毎日3000字も書くんだからよ。」


「慣れッすよ。 おっ、昨日は50万PVくらいは読まれたんか……。 俺の強さは合計で3億2000万PVだな。」


 自動投稿で目に終えないほどの更新のスクロールがある程度緩やかになった今だからこそだ、数分ずらして投稿するのが一番読まれる。

 新着の欄に1秒でも長く載ればそれだけ見てもらえる確率は跳ね上がるのだ。


「さてと、やること終わったんで帰るっす。」


「おう、達者でな。」


 俺は原稿を受けとると新着の欄に載せた途端……待ってましたと読者は群がって来るわけだ。

 まぁ元から人気なのもあるが今の所画面のスクロール無しでパッと目につけるタイトルで面白そうなのは彼の作品くらいか。


 しばらくは彼の独壇場だろうよ。
















 また少し時間が経ったくらいだろうか、顔に覇気の無い作者が一人やって来た。

 見ればわかる、俗に言う【底辺】だ。

 薄暗い顔してなんだァ、ゾンビかテメーは……少女なら笑って愛嬌の1つでも振りまけば可愛らしいのにもったいねぇ。


 それにしても俺がここに配属されてからは初めてお目にかかる作者ではあるな。


「あ、あの……これお願いします。」


「おう。」


 たった1000字程度の作品だが俺は初めて見るヤツの作風は気になってな、一覧に載せるがてらに斜め読みしたんだ。




【なるほどなぁ……。】




 面白いかと問われれば全ッ然面白味の欠片も無いし、そもそもこの世界において需要があるのはファンタジーか恋愛のものだろう。

 この少女の作品はあろうことかコメディーだ。

 全く読まれない訳じゃあないが……同じ土俵で戦うには分が悪すぎる。


 しかもタイトルは漢字の5文字と来る。

 荒筋化したタイトルが主流なこのご時世じゃ、パッと見てどんな作品かわからなければそれこそ論外だ。


「昨日は15PVですね。」


 少女の顔にちょっとだけ笑みが宿る。


「塵も積もれば山となる、頑張れよ。」


「はいっ!! 私頑張りますね。」


 なんだ普通に喋れるんじゃねぇか、モソモソと覇気の無い挨拶ほど暗い気になるモンは無いからな。

 元気なことはけっこうけっこう……ってぇ、ゲェッ!?




【なんだこの量は!?】




 なんと少女のクッソつまんない作品は1話1000字程しかないが1000話近くあるじゃねぇか!?

 換算すると100万字はあるぜ……。


「どうしたんですか? な、何か誤字や脱字があったんじゃ?」


 そうじゃない。


 ほぼ読まれもしない作品を自己満足なだけでここまで書ききれるものなのか?

 心は折れないのか?

 何が彼女をここまでさせているんだッ!?


 正直俺には理解できないよ。


「1ヶ月くらい執筆お休みしてたんで少し作品の質は落ちちゃいますけどね……あはは。」


 初めてコイツを見たの書いてない時期があったからなのか……と考えればそりゃ納得だわな。

 根性そのものは納得できねぇが。


「悔しくはないのか?」


「え? 悔しいって……何がですか?」


 俺は他人の作品には正直なところ無関心……読まれようが読まれまいが勝手だからな。

 仕事の為に受付やってるだけだし。


 でもこの少女の作品だけは違った。

 なぜだ、なぜ……?


「お前さん……同じ100万字作家がどれだけのPV数を誇ってるのかを。」


 少女はフッとうつむき、握りこぶしがギュッとなるのを見逃さなかった。

 きちんとわかっていたんだ。


「ほぼ大部分は数百万PV獲得しているがお前さんのは数万程度だ。」


「良いんです、わかった上で作ってますから……。」


 強がりなことを……。

 本当は皆に自分の作品の世界を堪能してもらいたいんだろう?


「ユニークは3万人、だがあいにく1話目からつまらんからな……ブラウザバックして2話目すら見てもらえてないじゃないか。」


 震えが激しくなる。


 そうだ、もっとだ……欲望に忠実になれよ……。

 自己満足だけじゃ満たされないことをなァッ!!


「もしこの3万人が全話読んでたらどうなる? 軽く3000万PVは行くだろうよ。」


「私だって読まれたいんですッ!!!! ……認めてほしいんです。 わかっているんですよぅ、本当は。 自己満足だけじゃ限界があることだって!!!!」


 ギリッと睨み付ける目は評価やPVに餓えまくった野性のケモノの目。

 良いねぇ……蛮族なオークの俺が身震いするとは、コイツはマジで見所あるよ?




 良いじゃねぇか、こんなに頑張ってるんだからよ。


 コイツの作品がつまらないのは確かだが……履歴を見ればほぼ毎日更新した、努力した……その末にここまで立派な塵を積もらせたゴミ山が目の前にあるんじゃないか。

 たいしたもんだよ!!


 俺に同じ条件で書き続けろって言われたってやりたくもないわ。

 皆も やりたくないだろ?


 そろそろこの少女は報われるべきだ……俺はそう思う。

 称賛にあたいする、脱帽したい。















 ひとつお願いがあるんだ、目の前の読者様達に……。


 この作品は頑張る彼女の心の支えになりたい、それならば偽りで仮りそめでも良い……。

【次へ】を毎日たくさん連打してPVを稼ぐネタ作品という立場上、こういうのはあまり良くないのは承知の上で彼女のモチベーションを上げさせてもらえないだろうか?


「わ、私からもよろしく……お願いします。」


「プライドを捨てろ!! 媚を売りまくれ!! 手段を選ぶなァッ!!」


 相変わらずオドオドと挙動不審な少女だが、なんだァ……笑えば可愛いじゃねぇの。

 オークの俺にはもったいないほどの一目惚れだ。

勢いで作ったネタ作品。

だけど後悔はない、むしろやれるところまで突き進む!!

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