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『XIII :新入3』


僕たちはその後、軽く自己紹介をし、早速初任務についてのミーティングを行った。


「僕たちの初任務は第三区域での猿型凶獣ランデルの退治だよ。ここ最近その凶獣ランデルは一帯に縄張りを確保し、勢力を広げているらしい…」


「それって放置しとけばいいじゃねーか。なんでわざわざ俺たちがその凶獣ランデルの進行を止めなきゃなんねーの?」


「おい天羽あもう西園にしぞの先輩には敬語使えよ」


天羽あもう君の態度にあずま君が思わず注意する。


しかし、天羽君の質問は的確だったと言える。確かに僕たち人間が一見関係のない都市の外の勢力争いに対応しなければならないのは疑問だ。


「ふむ、私が説明してあげよう」


雨夜あまや先輩が椅子から立ち上がり説明を始めた。


「それはね、余りにも一つの種類の凶獣ランデルが繁栄すると生態系が変化し、最終的に都市に近い区域でさらに危険な凶獣ランデルが現れる事に繋がるからだよ」


僕たちはいまいち理解出来ていないというような表情を浮かべた。


「ほら、例えば強い凶獣ランデルが現れるとそれより弱い凶獣ランデルは都市に近い区域に逃げてくるでしょ。それが何度も積み重なると、どんどんより強い凶獣ランデルが都市に近づいてくる事になる。だから私たちがそれを防ぐために活動範囲を広げてる凶獣ランデルを討伐しなきゃいけないの」


雨夜先輩は説明を終え何事もなかったかのように座るが、全員が納得という表情ではなく驚いた表情で彼女を見つめる。


「何、なんで皆びっくりしてるの?」


「…先輩普通に喋れるんですね」


東君がそう言うと、先輩は慌てて弁明する。


「え、みんな私が頭おかしいを思ってたの!?そりゃあ天使の使徒だから?一般人と少しレベルが違うのは否め無いけど…。これでも私この班のリーダーなのよ⁉」


「僕たちの今回の任務は猿型凶獣ランデルの全滅ではなく巣の破壊。行ってみないと分からない事もあるけど、具体的な目標としては巣の奥にいるボス凶獣ランデルの討伐だよ」


西園先輩はホワイトボードに猿のイラストを書きながら説明を続けた。


凶獣ランデルを集団で行動させない為に、それを統率している凶獣ランデルを倒すんだ。注意しなければいけないのは凶獣ランデルが何匹いるかが不明なこと。そして何より厄介なのは猿型凶獣ランデルは少なからず頭が利くということだよ。頭が回るからこそ、集団で何かしてくる可能性が非常に高い。もし任務の遂行が難しいと判断した場合はすぐに撤退するよ」


西園先輩はペンに蓋をし、ホワイトボードの淵に置くと、


「以上だよ。取り合えず解散。質問があったら僕に聞いてね。任務は明後日、午前10時にクリストルタワー前に集合だ」



ミーティングを終えた僕たち男子三人はこれから暮らすことになる部屋に連れて行かれた。


「ここの部屋が空いてるんだけど」


西園先輩は部屋のドアを開ける。


「ここに三人ですか?少し狭いと思うんですけど…」


僕の質問を予想していたかのように西園先輩がすぐに答える。


「うん、二人部屋だからね」


「そこに三人で暮らせっていう事ですか?」


東君は正気かという表情を先輩に向けた。


「クズ白と同じ部屋とか俺はごめんだね」


「違う違う、流石にそんなことはしないよ。この中の二人はこの部屋に、余った一人は……」


先輩はニヤリと笑みを浮かべ、僕たちは息を飲む。


「僕と同じ部屋だ!!!」


「ゲ!……」


余りの一人はもう一部屋を独占できると期待した僕がバカだった。


まさか先輩と、しかも今日あったばかりの先輩と同じ部屋……気まずい、絶対に落ち着かない。


「…っていうことで!三人でジャンケンして決めてね」


僕たち三人はお互いの表情を確認し合う。


絶対に負けるわけにはいかない。ここだけは、例え親友を蹴散らしてでも。そう、絶対に負けられない戦いがここにある。


「いくぞ。ジャンケン………ポン!!!」


パー


グー


パー


「………」


天羽君は地面に崩れ落ちた。


「これからよろしくね!天羽君!」


「……はい」


天羽君は西園先輩に連れられ別の部屋へと消えていったのだった。



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