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10、第二王子 レインハルト

オストワール王国は、基本的には一夫一妻制を敷いている。


ただし、例外として国王のみ、国家繁栄の為、第二・三夫人として数人の側妃を持つことが認められていた。歴史的に見てオストワール王国で側妃を娶ったのは、全体の王の三分の二程。最近では、国王も一夫一妻制が多かったが、現国王である第23代オストワール国王は、側妃を持ったのであった。そこには、政治的な調整の為とか、王が視察の際に、見初めたのだとか色々言われているが、本当の所は、王国中枢の一部の者しか知らない。


そんな側妃と国王の間に生まれたのが、第二王子であるレインハルトだった。レインハルトは、兄ラインハルトと同様に聡明であった。性格はというと、しっかり物事を考えてから動く兄とは逆で、フットワーク軽く、体が先に動くタイプだった。レインハルトに近しい者の中には、兄よりもレインハルトの方が王に相応しいと言う者もいたが、レインハルト自身は、王になんてサラサラなる気などなかった。


毎日のようにおびただしい数の書類に埋もれ、貴族の調整に四苦八苦している父の姿を見ていたし、兄も「王となる為に必要な」大量の課題を、毎日のようにこなすのを、ずっと間近で見ていたからだ。兄は、「王になるのだから当然だよ」と笑って言っていたが、レインハルトには、とてもじゃないが自分にはこなせそうにないと心から思っていた。


なので、自分としては、自分の長所を生かして、兄のサポートに回るのが良いだろうと思い、自分の長所とは何だろうと自分探しの旅に出ている所(ただし旅先は、今の所、心の中限定)であった。側妃である母も、その一族も、レインハルトが王になることを求めてはいなかったので、ずいぶん気楽なものだった。


そんな国王になるが為に18年間過ごしてきたあの真面目な兄が、許嫁のエリカ嬢とは別の令嬢に懸想していると聞いて、ビックリしたのだった。弟の自分から見て、二人は政略結婚とはいえ、仲睦まじい様子を物心ついた時から見ていたので、よけいに驚いたのだった。


そんな話が自分の耳に入ってきて、とにかく実際に確認しようと思い、早速その令嬢にコンタクトを取ってみたが、実際話してみると、何のことない、とても残念な令嬢だった。


全く身分を弁えていないし、知性もない、立ち振る舞いだって優雅とはとても言えない。多分歌もダンスも駄目だろう。しかも、他の男子生徒との色々噂は絶えないし、挙句の果てに自分にまで粉をかけてこようとする。


どの点においてもエリカ嬢に軍配が上がるというのに、なぜ兄のラインハルトはシャーロット嬢にご執心なのか甚だ疑問だった。


その疑問を解消するため、自分の「影」に色々探りを入れさせていたが、とうとう明日の卒業パーティーで、兄は「事」を起こすらしい。


何をどう起こすのか今から楽しみだ。あの用意周到な兄の事だから、きっと失敗することはないだろうと思うが、もし、万が一エリカ嬢を捨てるのであれば、直ぐにでも父である国王に言って、自分が彼女の夫となれるよう取り図ろうとウキウキしながら、明日の朝を待つレインハルトであった。


次回、ようやく、あの方のご登場です!

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