1、プロローグ
「なろう」と言えば、悪役令嬢だよね!と思い、書いてみました悪役令嬢物。
皆様に、楽しんでいただけると幸いです。
公爵令嬢であるエリカは、婚約者であるオストワール王国第一王子ラインハルトのエスコートもなく、3年間共に学んだ学園の卒業パーティー会場の入り口で、この日の為に誂えた豪奢なドレスに身を包み一人たたずんでいた。
周りに気づかれない程度に深呼吸をし、いざパーティー会場に入ると
騒がしかった会場は一瞬で静まり、パーティー参加者達は、一人入場してきたエリカに注目したのだった。
ここの所ずっと彼女が参加していた行事では、第一王子のラインハルトが最低限度のエスコートをしていたとはいえ、お互いに目も合わす事もなく、会場に入るとすぐに別行動に移していた。つまり、多くの人間が二人は不仲であることは認識していた。そのような状態の中、貴族の子弟にとって、大人の世界に飛び立つ目前の集大成とも言える卒業式後のパーティーに、公爵令嬢であるエリカが会場に一人で入場となると、その意味を大方の参加者は、推測できるのだった。
エリカは、冷静になろうと周りを見回す。
きっと、とうとうこの日が来たのだと、みんな思っているに違いない。
同情している者約半分、
興味ありげに見ている者半分、
そして訳知り顔でニヤニヤしている顔が若干名...って、ところかしら。
ニヤニヤしているとは、許せないわ。後で覚えてなさい!
と思いつつ、自身の婚約者の様子を見ると
いつも周りに従えさせている男子学生数名と、そして、少し背の低い女生徒と一緒にいるのが見えた。
ラインハルトの手は、女生徒の腰にぴったりと回っており、不安そうな彼女の耳元に何かを囁くと、彼女はポッと頬を染めているのだった。
取り巻きの一人が、ラインハルトに何かを伝えると、彼は今までの甘かった雰囲気を一瞬で変え、エリカの方を見やる。
さあ、これからが勝負よ!
頑張りなさい、私!
とエリカは自分を鼓舞し、ラインハルト達一団と対峙すると同時に
ラインハルトは、エリカに向かって叫んだ。
「エリカ!お前に問う!お前は、未来の国母にふさわしいのか!」
こうして、公爵令嬢エリカの断罪裁判が始まったのだった。
こちら、既に完結している話もございます。
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