22 我が家に勝軍地蔵を祀るには
津島君はうなずいたり、首をかしげたりしながら、静かに聞いていた。横やりを入れたくなるのを我慢して、私はずっと黙っていた。
「憬衣殿のいうとおり、都望季殿の屋敷にしか、われのおさまることができる場所がなくての。なんとか助けてはいただけないだろうか。勝手なことを言ってすまぬが」
お地蔵様はそう言って頭を下げた。津島君は今じゃ神様だと信じることができているお地蔵様から頭を下げてお願いされて、「おそれいります」と恐縮している。
「ぼくのばー……祖母が、庭のことはぜんぶ取り仕切っているので、祖母に頼んでみます。祖母は信心深いから、大丈夫だと思いますが……」
お地蔵様、本当によかったね。こんな日が来るなんて私は考えられなかったよ。ただ――と、津島君が不安を口にした。
「由緒あるお地蔵様をうちの庭なんかに祀るなんて、畏れ多いって言うんじゃないかと……」
うーん。確かにそうかもしれない。津島君のおばあさんには会ったことがないけど、私だってそういう気持ちはあるもの。お地蔵様は「そうじゃのう」と少し考え、
「それでは、われが夢の中にはいって頼むとしよう」
と言った。泥だらけになっているお地蔵様をゴミ捨て場で見つけたことにして、かわいそうだから庭に置きたいと、津島君がおばあさんに頼む。万が一、おばあさんがだめだと言ったら、その夜、お地蔵様がおばあさんの夢枕にたって、祀ってほしいと頼むのだ。
津島君の頼みはもちろん、聞き入れられた。おばあさんはお地蔵様を不憫がって、すぐにでも持ってくるよう、言ったんだって。おばあさんが受け入れてくれたから、お地蔵様はおばあさんの夢枕に立つ必要はなかったのだけど、お礼を言うために夢に出たんだって。津島君のおばあさんはとても感激して「ありがたや、ありがたや」って、神棚の前で手を合わせていたそうだ。




