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ここで切らないと変な感じだったので
短いです!
魔族とエルフのハーフ。
それは、普通ではありえない組み合わせだった。
エルフは純血を好む。
最近は人間とのハーフであれば、まだ許容されているようだが、血の影響が高い魔族や獣人とのハーフは大層嫌われると聞く。
そもそも存在自体が稀であり生まれてもここまで穏やかに暮らせる筈がないだろう。
「何故、それを私に伝えたんだ」
「使命だからだ。私はその使命のために生まれた。エルフの血が無ければその本に魔法はかけられず、魔族の血が無ければその呪いは解けない。だからこそ、聖女様に使えるべくして生まれたと思っている」
「その言い方は寧ろ……」
この呪いのせいで生まれたみたいではないか。
フローナの父親は初めから居なかったらしい。これもエルフには珍しい事であったが、何も知らない子供はそんな事を把握している訳もなく、ただ幸せに幼女時代を過ごしたようだ。
「本来は嫌われている筈の私も、この境遇のお陰でまだ優遇してもらえるのだ。感謝しよう」
恐らく、ここまでを伝える事が『使命』なのだろう。
フローナはギルベルトの存在を無視してベッドへと体を沈め始めた。このまま寝るつもりなのかもしれない。
「1つ、質問をしたい」
「なんだ」
「……私の魂は、何者なんだ?」
「……それを答えるのは私ではない」
そう言うと彼女は壁に顔を向けて黙ってしまった。
これ以上ここに居ても何も得ることは無さそうだ。
そう思って出ていこうとした瞬間だった。
「フラワージェには気を付けろ。そして今聖女様は図書館にいる、早く行ってやれ」
フローナはそれだけを告げると、今度こそ本当に黙ってしまったようだ。
ギルベルトは彼女の忠告通りに図書館へと急いだのだった。
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