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その2人はまるで天使達が舞い降りたのかと思うほど美形だった。
男の子の方は金髪のサラサラの髪に吸い込まれそうなアクアブルーの瞳、女の子の方も金髪のサラサラの髪に鮮やかなヒマワリ色の瞳。
2人ともギルベルト様とは違い、儚げで敵と戦った事が無さそうなほど華奢な体をしていた。
そして……。
「よく教科書で見るような『黄金のスター』だね」
「ええ、まるで神が舞い降りたようです」
2人が祈るように互いの手を合わせ、おでこを触れさせ合う姿はまるで、その部分だけが芸術的な絵のようだった。
頭上に現れる『黄金のスター』がよりそれを神秘的な印象を与えているのだろう。
これを見て運命のパートナーではないと即座に判断出来る人物は、恐らく私とギルベルト様位であろう。
「ギルベルト様!!!」
そこに現れたのはアスティア様と、白髪に白い髭を生やした少し厳つく、顔が良い男性。
私を睨むようなその視線とギルベルト様から溢れたその言葉でこの後に起こり得る最悪の事態を物語っていた。
「……父上」
「ギルベルト、久しいな」
ギルベルト様のお父様であるザヘメンド辺境伯は、私にちらりと視線を向けると、まるで存在がないかのように話始めた。
「ギルベルト、アスティア嬢との婚姻を進めようと思っている。未だにパートナーが見つかっていないばかりか、あのような神秘的な現象を見てしまえば、お前の相手は運命のパートナーではない事位理解できるだろう」
「ギルベルト様。流石にご自身の目で見たならばお分かりですわよね」
純粋に凄いなと思う事は、この今ギルベルト様に話しかけている2人は私の存在を明らかに無くそうとしている事実を隠さないで今話している態度。そして、練習場には私達と例の1年生2人の他にも練習している生徒がいるのでその全員がこの現場を見ている事を全く気にしていない事だろうか。
「父上、貴方がここに来ているのは母上は存じているのでしょうか」
「何故そのようの事を聞く」
「そうですわ、辺境伯様はこちらのアークヘント様でらっしゃいますもの」
「そうですか」
ギルベルト様は呆れたように言葉を吐いた。
どうやらこのアークヘントというギルベルト様の父親は、自分の立ち位置をあまり理解していないのかもしれない。
だからこそアスティア様に腕を組まれてデレデレとした顔も隠さずに重要な内容をこんな場所で話す事ができるんだと思った。
「これから手続きを行うぞ、ギルベルトは付いてきなさい」
「父上、私は___」
「おや?練習場に学園関係者以外の人物がいるなんて。必要書類は提示頂いておりますか」
そこに居たのは物語からそのまま出てきたかのような美形。
黒い艶やかな髪に王族の証である真紅の瞳を持つその方は、この国の第二王子、クリスチャード殿下だった。
ふと我に帰って周りを見渡すと私以外全員美形だと気がついた。囲まれた私は非常に居た堪れなく思ってしまう。
やはり、私は部外者なんじゃないか、そしてこれは長い夢なのではないかと。
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