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ゴールデンウィークも投稿頑張ります。

『図書館に向かいます』と書き置きをしてから外に出ると、既に日が暮れ、夕日が街全体を照らしていた。

 そこまで長く話していた気がしなかった為にとても驚く。

 もしかしたら、あのエルフが体を乗っ取る行為には何かの代償があったのではないかとも思う。


 街はレンガでできた道や建物で統一されているためか、お洒落な印象があった。よく見ると周りの人たちが着ている洋服も少し独特な物が多く、今の自分の格好では目立っている気がしてならない。


 いや、しかし、少しだけ図書館に行ってそしてすぐ自分たちの街に戻るのだから気にしてはならない。

 なんとなく周りから感じる視線を無視しながら、急ぎ足を進めた。



 図書館に入ると「空高くまで」という表現が適切な程高くまで本棚が詰まれ、螺旋状に階段が上まで続いていた。

 もしや、これを登れという事だろうか。


「…………」

「お客様、いかがされましたか」

「あ、すみません。歴代の運命のパートナー達の似顔絵や写真などまとめた物など……」

「そうしましたらあちらの……」


 高級ホテルの支配人かと思うような黒いスーツを着込んだ男性が、極めて丁寧に接客をしてきたが、彼が指差した先は余りにも高い位置を示しており吐きそうになった。


「あそこまでは……」

「こちらの札をどうぞ。あの乗り物に乗っていただいてこれを差し込んでください」


 彼が案内する乗り物は、外側だけガラスでできた四角い箱が人間の大きさに縦に伸びた形をしていた。

 そして、中に入ると札を入れる場所がある。少しドキドキしながら札を差し込むと箱全体がキラキラと光を纏い始めてふわっと浮き上がった。


「!!!?」


 支配人は手を胸に当てて腰を90度に曲げてお辞儀をしてくれたので私も頭を少しだけ下げる。


 これは、気持ち悪い。

 体の中身が全部浮いているみたいだ。

 まだギルベルト様の転送の方が気持ち悪くないかもしれない。


 気がつくと私は螺旋階段の途中で下されていて、目の前に本がずらりと並んでいた。




「これかな」


 1つ本を手に取って、「運命のパートナー達の写真は…」と口に出すと近くの本が光った。そして、目の前まで勝手に出てくると空中で本が開く。


 もしかしてこの図書館は全ての本に意思があって、近くで欲しい本を言えばこのように出てきてくれるのかもしれない。

 初めての体験に少しだけわくわくした。


 そっと本に手を触れると、やはり私が欲しいと思った本だったのだろう。私は机と椅子がずらりと並ぶ場所まで瞬間移動していた。


 この図書館はなんて素晴らしいシステムを取り入れているのだろう。

 探す手間も無く、素早く読める位置まで連れてきてもらえるなんて。


 ただ私は少し気持ち悪くなるので、そこだけ改善して欲しいけれど。




 さて読もうと空いている椅子に座ると、周りに居たエルフ達がこちらをちらちらと見ている気配がする。

 しかし、今の服装のせいだろう。私はそのまま本を開いた。


「レティ」

「……ギルベルト様」

「先程のフローナさんとの話した内容を忘れたのかな?」

「ええ、だからこうやって図書館に」

「そこじゃなく年齢の事だ。それに、エルフは繋がっているんだろう」

「ああ!」


 まさか、だからエルフ達からの視線が刺さっていたということか。

 もしかしたらフラワージェさんからの情報がエルフ達の中で行き交っているのだとしたら、私が聖女と何かしらの関わりがあると知られているのかもしれない。


 しかし、まだ本は開いたばかりである。


「はぁ……レティ。私は一度来た場所には指定すれば瞬時に移動出来る事を忘れたのかな」


 ああ、そうだった。

 先程の図書館のシステムに感動した時に、ギルベルト様の能力についても思い出していたはずなのに。


 ギルベルト様から向けられる呆れた視線を無視して立ち上がると、「借りてきます」と言って受付に向かった。



お読みいただきありがとうございます!

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