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 アスティアが出て行った扉が閉まった事を確認すると侍女に手紙を用意させた。

 短文でいい。寧ろその方がいいと彼女は言うだろう。

 何故なら、あの頭の悪い父を叩き上げ、現在もあの地を守ることができるほどの人間だ。


「ララ、遅くなった。行こう」

「あまりに遅いのでアナリア様にご報告しようかと思いました」

「…….無駄に緊張させないでくれ」

「申し訳ございませんわ。それで、指標は」

「ああ、大丈夫だ。レティシアが私から逃げられない事実は既に決定しているからね」

「あらまぁ、ついにレティシア様の良さに気がついたのですね」

「全く、意地悪な事を言うね」

「ふふ……」


 ギルベルトがある魔法陣を描き始めるとララは嬉しそうににこりと笑いながらまるで貴婦人のように優雅な動きで手紙を封筒に仕舞った。


 _____






 さて、このだだっ広い草原を前にして私は暇を持て余しておりました。

 隣町ってこんなに遠いのね。

 どうでも良い事ですが隣町は少し閉鎖的な環境で1つの商業国のようになっております。

 だから、ここでしか使用できない通貨が存在する訳ですね。


「まぁ、知ってたけど」


 婚約者様と話をした場所にはララが同席していた。正確に言えばララは侍女として私の側に控えていたのだ。

 そしてララは特に慌てた様子もなくアスティア様の話を聞き、私が連れ去られる瞬間も見ていた事を私は把握している。


 あの、アナリア様の侍女であったララが慌てていないなんて、何かを知っているかもしくは、この件についてそこまで重要視していないかのどちらかなのだろう。


 そもそもアナリア様がギルベルト様の婚約者について何も考えていない訳がない。

 利用できるか本当に相応しい人物と、どちらかだったのだろうと思っている。そして恐らく、アスティア様は前者なのだろう。


 相応しい人物はきっと、私の侍女についても調べ、話し合いをする部屋へ通さないと思う。


 そして私は知らないうちに居ない者として処理されて知らないうちに家族と5つ先の街の山奥に住んでいて幸せに暮らしているはずだ。



 アナリア様が求める『相応しい人物』はこれくらいはできて当たり前だ。


「………」


 本当に、困った方である。




 再び草原に意識を向けると終わりが見えない緑が続いていた。まだまだ道のりは長そうである。

 私は大きくあくびをすると、少し寝ようかと意識を落とした。




お読みいただきありがとうございます!

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