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レティシア視点です
私は、ギルベルト様の後を歩きながら、この3ヶ月に行ってきた私の成果を思い返していた。
まず、寮に来てからのギルベルト様の態度を考えると、学園に入った時味方をしてくれる可能性が低いと感じ、かなり危機感を覚えた。
だから家庭教師から教わる、貴族の一般的な知識や、私の学年で学んでいるはずの勉強以外の部分も強化しなければ絶対に学園で潰される。
だからこそ、街に出て何かしらの情報を得る事ができないかを探して歩いた。
そして見つけたのは大きな図書館。
そこには、幸いにも貴族一覧が載っている本がずらりと並び、学園にいそうなメンバーのピックアップを可能にした。
加えて、魔法薬ギルドにも顔を出した。
私の学園では卒業しなければ資格が貰えない事になっていた内容も、ギルベルト様の学園であれば、知識テストに合格さえすれば所属できるという。
信じられない差別ではあるが、一応私も学園証明書は既に発行されている。それを差し出してギルドにも登録を終えた。
この街の魔法薬ギルドは大きく、ギルドの中でも調合が行える事もあり、調合スペースを持っていなくともお金を稼ぐことができる。私はそこである程度の稼ぎを得る事もできた。
貴族一覧の学びを終えると、家庭教師から教わった内容の応用が出来そうな内容も図書館で探し出して手当たり次第読み耽った。
勉強は嫌いではない。全てお金を結びつける事で、これを学べばいくらになりそうかを考えながら読み進めればするすると頭に入ってくるものだ。
私はこの3ヶ月間で現在生きている関わりがありそうな貴族の家族構成、名産や特徴などを全て覚え、マナーや特殊なルールまでも頭に叩き込んだ。
そして、夜には独学で魔術を学んでいたが、ギルベルト様が教えてくれるようになってからは、(教え方がとても上手かった事もあり)かなりの魔術を習得する事ができた。
パートナーありきの魔術しか見てこなかったからか、案外1人で行える事多くあると知り、かなり楽しく学んでいたと思う。
こうして割と濃厚な3ヶ月を終え、最終日にはギルベルト様と和解……し、割と良いスタートを切れるのではないかと頭では思っている。
「はぁ……」
「どうしたの、緊張している?」
「ええ、緊張しない訳ないです」
「大丈夫だ、私が居る…と言いたいところなんだけれど、私は生徒会役員でね。心配だからレティシアのために調合室を1つ押さえておいたよ」
「ん???そんな事できるんですか?」
「実は調合室を使う人は割と少なくてね、1つ小さめの調合室で使われていない部屋があったから、先生に言って確保できたんだ」
「…………」
「何か?」
「権力は強し」
不安点があるとすれば、貴族達相手に実戦をした事がない事、そして図書館で見た、『運命のパートナーについての書』のことだけだ。
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