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かなり長い間の期間を過ごしていたように感じた。
でもまだ1年も経っていなかったことに恐怖さえ覚えている。
あの学校から強制的に引き抜かれてから私は、今後1人で生きていくための勉強をほとんどしていない。
本当は薬を売って家族を養ってゆっくりと暮らしていく予定だったのに、あの頃から薬については全く成長もしていないだろう。
一体全体どうしてこうなってしまったのか。
運命のパートナーの力が強すぎたのか、ギルベルト様が強引すぎたのが、その両方が関わっていることは私は知っている。
本当に私が可哀想としか思えない。
無駄に巻き込まれた平民が実は聖女だったとかどんなトリックを使ったのか教えて欲しいほどに。
いや、そんなことはどうでもいい。
私は今ザヘメンド家に監禁されている。
監禁と言っても腕を縛られている訳ではなく、貴族となる修行のためにだ。
かなり勉強はしてきたと思っていたのに、振る舞いが全く貴族ではないとの陛下からのお小言が入ったせいでこうなってしまった。
私がギルベルト様へ気持ちを伝えた直後、やってきた殿下は私に哀れみの目をむけてこう言った。
「お前はとことんついていない人物だとギルとパートナーになった時点で知っていたよ」
何が言いたいのかを尋ねるよりも前に、ザヘメンド家に監禁されると伝えてくれたことも、殿下へ当たりたくなってしまう原因なのは把握して欲しい。
全く殿下も私が容赦のないの人間だともっと知るべきである。
その後、今後の予定を伝えられた私が殿下に向かってギリギリの悪態をついたことは言うまでもないだろう。
ザヘメンド家ではまずは姿勢を正さなければならず、よく本で見るような、辞書を頭に載せながら歩く練習までさせられ、毎日体は鉛のように重く、ずっと前から筋肉痛だ。
コルセットは息苦しいし、ドレスは重りのようであり以前よりも筋肉が綺麗についたように思う。
いくら肉体美を極めたところで、体を遮るようにドレスで覆われてしまうため誰にも見せられないことが非常に残念だとギルベルト様に言ったら、とても複雑な表情をされた。
あとで、そう言えばあの人と夫婦になる予定だと思い出して、あの言葉は失言だったなと反省したので許して欲しい。
気軽に言葉をかわせる人もギルベルト様しかいなかったのだから、急に恋人だけになられても私も困ってしまうじゃないか。この気恥ずかしさを話せる相手をどう用意しろと言うのだ。
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