165
昨日仕事が遅く投稿できませんでした!
「ようやくここまで来たのか」
「ええ、このような形でお目にかかれるとは思いませんでした。陛下……」
記者たちの取材が全国に広がり、普通では手に負えないドラゴンを手懐けたとなればかなりの有名人となっていた。
気がつけば追手たちはいなくなり、人目はあるが、命の危険はなさそうだと判断してもよいかもしれない。
必然的に称賛される立ち位置になっていたため、現在陛下の前に跪いている。
数日前にドラゴンに突撃したあの日が遠い日のようだ。
シナリオの2である陛下の膝下、ここまで早く陛下の元へ来れるとは思えなかった。
私とギルベルト様が狙われることがない街を簡単に作ろうを思っていただけであったのに、なんて大袈裟な。と少し思うが、確かにドラゴンを手懐けられたなど前例がないのだからこうなることは当たり前である。
「想定よりもだいぶ早く呼ばれ、驚いております」
「何を言っているのか、お前たちの事を気に入って、待遇よく接していたのだからこうなることは分かっていただろう。なぁギルベルトよ」
「……ええ、私は、レティシアと早く結婚できるなら、なんでもよかったのです」
「え、初耳です」
「気がつかないなんて、急に頭が弱くなったのかなレティ」
「……」
そういえばギルベルト様は私と結婚したいと言っていた。完全に忘れていたことに、計算がずれた原因が浮かび上がった。
街に降りる前、外の人が分かるような葉書にて、ザヘメンド家に『ドラゴンを手懐けた』とギルベルト様へ連絡をお願いしていた。それによって街の人がギルベルト様がドラゴンを手懐けたことが口づてで広まることを考えたのだ。
おそらくその葉書に出ていく日程と記者へ取材を受けるとでも記載していたのかもしれない。
私の中では、記者数名にインタビューをしてもらえれば良かったのだが、集まった人数は数十名を超えていたように見えた。
これではわざわざ陛下に連絡をしなかった意味がなかったではないか。
私はまだ陛下慣れしていないから、陛下に呼び出されて称えられる日程を少しでも遅らせられればとの思惑が全く作用しなかった。
陛下への挨拶が終わり、2人で部屋へ通された。
お茶が出てきて、もうすぐ殿下が来るらしい。
香りがよい液体を喉に通すと改めて考えるとずれた計画の内容がまとまった。
なるほど、全てはギルベルト様のせいだったのか。
貴族の結婚なんて、早めたところで相手の気持ちなど測れないというのに、なんでこんなに早く結婚したいんだろう。私には全く理解ができない。
ギルベルト様が求めることはこんな内容ではないはずだ。
「そんなに早く結婚したって意味ないですよ」
「それは、どうして?」
「結婚しても私がギルベルト様を好きだとは限らないからです」
「…………」
ずっと、少し嬉しそうだった顔に曇りが見える。
「色々終わりましたね」
「そうだね」
面倒なことを先延ばしにするのは私の悪い癖、もう、引き伸ばす理由も見つからない。
「変わりませんでしたよ、気持ち」
「どんな気持ちだったの」
「ちゃんと好きです。ギルベルト様」
お読みいただきありがとうございます!




