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投稿遅れました!!
ところで、勇者の魂を消した後のことはドラゴンであるアカから話は聞いていた。
勇者の魂をもし燃やす場合、世界から勇者の魂が消えてしまうことになる。
そうなれば、世界は別の勇者の魂を生み出さねばならないらしい。
世界にとって勇敢あるその魂を生み出すことは案外熱量が必要な作業なのだとフロワージェさんは話していた。
聖女の方を多く生み出していたのは単純にエネルギー量の消費が少ないから、だったらしい。
女性の汚れやすさを考えれば、勇者を先に生み出して暗躍させた方がよっぽど早かったのではと思われるが、過ぎてしまった過去は変えられない。
これから行われるのは、この世界に住む人間の性質の清掃と言っていいんだろう。
有名な1名の性質がかき消され、正しい聖女がその位置に入り込めば完了だ。
現在私の魂が聖女であるなら、私も相当汚れていると考えたが、その汚れは神にしか感知できないという。
エターナル姫よりは欲は無いと思われるが、自分の魂に聖女の素質が一つも無いと思うのは自分を悲観な見方しかできないからなのか。汚れているから生まれ変わった時に魔力量が少なかったんじゃないか……なんて……。
「私ギル様からたまにキスされて、魔力受け取ってたじゃないですか」
「ああ、そうだね」
「勇者の魔力がある一定数移ったらエターナル姫が目覚める仕組みになっていたんでしょうか」
エルフたちがいたギルドで渡された本には、意識が移されていたが、魂を移した訳では無い。
エターナル姫は、もとより惹かれやすい勇者と聖女を魔法の力で引き合わせ、呪いで無理やり恋人にして、奉られる状態を永遠に楽しめる仕組みを作り上げたという訳だ。
それは、2人きりの空間であっても、貧乏な貴族であっても、自分と勇者が慕われない理由にはならなかった、むしろその役を演じ切り、演技に浸ることだって容易だったと思う。
勇者の魂を持ったギルベルト様を私に惚れさせることには成功しているが、今回は勇者の魂との接触は少なく、エターナル姫は目覚めていない。
このまま勇者の魂を燃やしてしまえば、このよく分からない因縁のような関係性は終わる気がする。
「そもそも、私は勇者のパートナーじゃないし」
「レティ、それってどういう意味かな……」
やけに落ち込んだ表情をするギルベルト様と目があった。
自分のパートナーじゃないと言われたと思っているのか、と考えて、どうしようもない方だと感じた。
「いいえ、私はあの有名魔剣士のパートナーのレティシアであって、歴史的に有名な勇者のパートナーでも、その相手の聖女エターナルになるつもりも無いので、早くその勇者の因縁を断ち切りましょう」
「レティ……」
「これ以上余計ないわれを作る必要はないですから」
周りがドラゴンの討伐についてはやし立てている。
全てが嘘だった色々なことを、さっさと全て整理して、私は早く帰りたい。
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