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そこまで言われてようやく気がついた。
確かに魂が入れ替わってその状況が全く分からないのに、なぜそちらの状況まで全部知っているのだろうか。
その呪いの国についてはあまり歴史書も書かれていないと聞く。
なぜその国終わりまで、しかもエターナル姫のせいで滅んだことを知っているのか。
『そ、そんなこと……分かりません。確かに、なんで……映像のように鮮明に思い出せるのに』
なぜなのか、そんなの、直接見た人物だったから、
もしくは、先ほどアカがシャックに行った記憶操作でもされたか以外ないだろう。
だが、記憶操作の魔法は完全に映像を再現させることは通常では難しいらしく、ギルベルト様も、当たり前のように魔法を使用したアカに対して驚いている様子であったのだ、
普通の人間には扱いが難しい魔法なのだろう。
「アカ、聞きたいことがあるのですが」
「なんだ」
「私の魂って、エターナル姫魂なんじゃない?」
「正解だよ、聖女の魂を持つ人間よ」
アカはニコニコと笑顔を絶やさない。
とても楽しい物を見るかのように私の顔を覗き込んできた。
「ではこの世界の運命と、呪いについて教えてやろう」
アカは再び語り始めた。
昔から魂には性質が存在していた。
その中には『勇者』や『王様』『聖女』などの魂の性質があり、その性質に見合った人物がその地位につくことによって、成功する確率が上がるとされてきた。
だが、必ずしもその魂が合致した場所に入るわけでもなく、かなり外れた場所に入ってしまえば、失敗することもあった。
例えば、ただの村人の中に『王』の性質を持った者が現れても、ついてくる人間いなければただの村人として幸せにはならないだろう。
逆に、王の中に『勇者』の性質を持つ者が入れば、戦いが好きな王となっていた可能性もある、という風に、毎回必ず一致した中に入れる保証はない。
『勇者』と『聖女』の魂は惹かれやすいとされているが、聖女の方に好きな人が別にいる場合には、勇者が泣く泣く諦めることもあったようだ。
つまりは、性質を持っていたとしても必ずしも成功はしないし、失敗に終わったまま人生を終えた人間も大勢いたということになる。
勇者と聖女の魂は特殊な物ではあった。
その2人は100年に1度位の周期で生まれ、世界を通して1人しか存在しないということだ。
なぜなのかは、アカには分からないらしいが、物語の本のように、魔王を倒す存在としてあるならば、少し納得でもできるだろうか……・
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