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レシーがとても焦っている感情が、なんとなく伝わってきた。
それがどの焦りなのかは分からなかったが、とりあえず呪いについて何かわかることがあるのだろう。
「別に、お前さんが国を立ち上げた張本人ではないのだから黙らなくても良かろう」
『……』
何でそんな黙っているのかは分からなかったが、アカは呪いについての説明を一旦終わりにしたつもりらしい。
「とりあえず、呪いにはとても大きい代償が伴うことを覚えておけばよい」と言ってチョコをかじり始めた。
それだけの代償を伴うと分かりながらも国を立ち上げたのであれば、これはもう、自分のためだけに作った訳ではないように思う。協力者の全員が何かのために呪いを使用して動いていたのなら、案外より良い国になったように思える。
もしかしてレシーはそこの姫だったとかではなかろうか。
別に、呪いという文字の印象はあまりよくないけれど、もし誰かのために使われたその方法であれば、悪いことだけではなかった可能性もあるとちゃんと理解した。
呪いと言うだけで気負いをして何も教えてくれないのであれば、それは本当に不要の考えだと思ってほしい。
そこまで考えると、レシーのため息が聞こえてきた。
そして、何やらぶつぶつと呟いていたあとに、意を結したのたか話し始めた。
『私の家族が、その呪いを駆使して国を立ち上げた張本人なのです』
「なんとなく分かってた」
『でも、確かに立ち上げのときには使用したらしいですが、その後は研究などは行われましたが、ほとんど呪いが使用されることはなく、その娘によって国は衰退の一途を辿りました」
「娘って……」
『私の体に入ったエターナル姫によって滅んだのですよ』
それは、あまりにも酷い内容だった。
魂が入れ替わった後にエターナル姫が好き勝手に魔法や呪いを使いまくり、蓄積された呪いの力が消滅、呪いの力を利用して動いていた国はすぐに弱り、なくなっていったらしい。
レシーはその事実を知ったときはとても後悔したようだ。
自分が国へ行っていればそんなことにはならなかったのではないかと思っているらしい。
「レシーはエターナル姫の中にいたんだから無理だったと思うけど、だって姫なんだし」
『でも、何かしらで支援とかできたんじゃないかと』
私とレシーがそんな事を話していると、アカがまぁまぁと言うように手をひらひらとさせてきた。
一旦口を開く事をやめてアカの方へ向き直る。
「一応今のレティシー姫の声はここらにいる全員に聞こえるようにしておいた、分からない者がいると面倒だろうに」
「そうでした、ありがとうございます」
「して、今の会話でおかしな部分があっただろう。分かるか」
アカはニコニコと笑いながら私に問いかけてきた。
今の中で何がおかしいというのか、何を聞かれているのかは分からなかった。
「いや……おかしな部分というと?」
「ふん、まぁ良い。おかしな部分と言うのは、なぜレティシー姫が魂の入れ替え後の状況を把握しているのか。という点だよ」
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