13
「いや、、しかしだね」
そう言った学長より先に私は彼に向かって声を上げた。
「どういうことですか?私は魔力量だって少なく……」
「学長様には話したか?レティシアの魔力量が5倍に増えたこと」
「それは……」
学長が息を吸った音が聞こえた。
「レティシア。魔力分与は、パートナーと同量まで増えると言われているんだ。私たちはパートナーでもないのに魔力分与ができたね、だからどこまで増えるのか実験しなければならないと思っている。そうなればずっと私の側にいて貰わなければならなくなるはずだろう?そうすればいずれ私と同じ学校に通わなければならなくなるしそれに、」
「も、もう……一旦やめて」
ギルベルト様の魔力量は私の1000万倍くらいだ。それほど私の魔力量は少ない。そしてこの間5倍に増えたからと言ってその数値がさほど変わることはない。
そして1秒ほど魔力分与が行われただけで私は眠気が襲ってきて寝てしまったのだ。実験という名目でずっと与え続けられたら一体どうなってしまうのか分からない。
恐ろしい事を言い出さないで欲しい。
「それに、そちらの学校の学費なんて出せませんよ」
「それは問題ないよ、私が出すからね」
「え?」
「討伐でいくら稼いでいると思っているんだい」
パートナーに出すくらいなら端金だ、と彼は肩をあげた。
私と学長は呆気に取られたまま彼を見、そしてため息をつく。
これは恐らく決定事項なのだと悟った。
「ああ……その。彼女は平民だから、慣れないと思うよ。もうすぐ卒業だったんだ」
「ええ存じております。ここの学年は4学年まででしたね。大丈夫です。私の学校は8年間通えますから」
学長が言いたかったのはそういう意味ではないはず。
多分、卒業してから迎え入れ、学校に行かないよう助言してくれたのだろう。その好意は呆気なくチリとなって消えた。
学長は私を、もう何もできない事に対する申し訳無いような顔で見てくる。
この後の抵抗は時間の無駄だという事が彼の顔に書いてあった。
「……頑張りなさい」
「…………」
学長の私への最後の言葉は、私への同情だ。
だから私は肯定出来なかった。
お読みいただきありがとうございます!