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『ついに』と言ったら待っていたかに聞こえるので、ここは敢えて『とうとう』と使う事にしよう。



 とうとうこの日がやってきてしまった。

 今日は赤のドラゴンに()()する日である。


 あの2人は準備は万全とでも言うような重装備で赴いており、逆に褒めたいとギルベルト様が言っていた。



 陛下からの命が下ってから2週間、それは必死にドラゴン、竜についてを調べてあげていた。


 人間よりも知能が高いドラゴン、竜とは彼らの土地を荒らさない代わりにその魔力の恩恵を受けているらしい。


 今回の赤のドラゴンで言えば、そのドラゴンが住む付近は常に暖かい気候となっており、温泉地としてもかなり有名だ。

 竜が住むお陰か魔獣の出現もほとんど無く、周辺の人々の性格も穏やかな人達が多いらしい。


 今回の依頼はドラゴンを落ち着ける事、もしくは原因を把握する事。

 暴れていると聞いてはいたが、人に被害が出ている訳ではないと聞いた。内容は時折足を踏み鳴らし、夜に空へと羽ばたいて空を旋回する位で、火を吹くなどもしていないようだ。

 住処は穴の空いた山の中であり、今まではずっと篭っていたらしい。


 逆にずっと篭っていた事に疑問を抱くべきではないかと思ったが、『赤の竜はいつも静か』という情報がどうやら付近の人々にとっての常のようだった。


 因みに竜もドラゴンも同じ生物だ。地域によって呼び名が変わるらしい。


「ギルベルト様、赤のドラゴンについて調べましたよね?」

「ああ……」

「とても自由で、何百年も寝ている時もあるって」

「ああ……」

「つまり、今までただ寝てただけですよね。多分久々に起きて羽伸ばしてる感じかな…」

「恐らくな……」


 つまりは、何百年か前に契約して以来ずっと寝ていた竜に今の状態を聞いて、何も事件を起こさないか尋ねたら終わりの案件なのだ。

 ただドラゴンに『ふぅ』と息をかけられただけでも死ぬ可能性があるため、強い人間が赴く必要がある、というだけだ。



 そこに、頭が悪いあのパートナー2人を突っ込ませて事故らせようという陛下の思惑があるのだろう。



 その考え方は本当に、本当にやめてほしい。

 前回もそうであったが、そのせいでギルベルト様ならすぐ解決する内容が困難な内容に変わったのだ。


 死ぬ可能性を5%から70%に引き上げる必要はないのである。

 私が陛下に言う言葉では無いのかもしれないが、死んだら元も子もないのだ。



 ここは逆に陛下も分かってやっているなんて事はないか。

 この間のギルベルト様が死にかけた際に出た怒りの表情まで作られているのであれば、最早何も言うまい。

 その策に嵌るしか今の私へ出された選択肢はきっとない。



「まぁ、そうなら諦めよう」

「……何を諦めるの?」

「陛下敵説です」

「なるほどな、多分違うよ。あの方はスリリングな賭けが好きなだけだ」

「……それ、敵より厄介だったりしません?」

「する」


 ギルベルト様が乾いた笑い声をあげた。

 きっと以前にも何かあったのだろう。


「それは、仕方ありませんね」

「全くだよ」





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