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「フラワージェさん?もしかしてエルフは体は必要ないですよーって説明してくれた人と同じ?」
『恐らくそうです……私の勇者様を返してって言われました』
レシーが目覚めた後、パーティーに出なければいけないので短時間ならと陛下には許可をもらい私達は別室に移り話し合いを始めた。
そこで、先程のエルフがフラワージェと名乗っていたこと、勇者に恋をしていて彼を自分のものだと言っていることをレシーから聞いたのだ。
レシーは、あの廊下で走ってきた時には体は見えていたが、やはり今現在は声しか聞こえてこない。透けていたが結構綺麗な外見をしていた気がするので、また見たい思ってた為に見れない事は非常に残念である。
あの時フラワージェさんがレシーは霊体だと言っていた事も少し気になっていたので、レシーに確認を取ったところ。
『霊体?私は霊体なのですか?まさか……』と言ってからぶつぶつと独り言を話し始めてしまった。
あんまり時間がないよと伝えると『今思い出しているので少し時間をください。私の国の言い伝えで、罪人に対して行われたとされる魔術が……』と、再び独りの世界に入ったので、皆諦めてパーティーの準備に取り掛かったのだった。
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「……レティ、まるで夜に咲く一輪のバラのようだ」
「……なんですか、その例えは」
私は癖のある猫っ毛を綺麗に結い上げられ、ギルベルト様が以前くださったイヤリングとネックレス(何故用意されていたのだろう)をつけ、その2つに良く似合う白から紺色にグラデーションされた、Aラインドレスを着せられた。
膝下辺りから白バラの刺繍が施されているのでより神秘的な印象を受ける。
そんな素敵なドレスを使用し、王宮の侍女様とララがあーでもないこーでもないと言いながら着飾られた。今現在、至上最高傑作の私が出来上がっているという訳だ。
それに対して「夜に咲く一輪のバラ」て、どういう意味なのか。それは一体何を表しているのか。私は平民なので貴族流の褒め言葉など言われても全くわからないし、そうでなくても何か想像がしにくいではないか。
「ああ……夜でも白バラなら良く見えて、映えて見えるから……今の俺にとってレティしか見えないよって意味かな」
「なんですか、その解説。めちゃくちゃ恥ずかしいんですが」
「俺も言っていてとても恥ずかしいよ……」
私が何故その例えにしたのかを聞いたと理解したのかギルベルト様はとても丁寧に説明をしてくれた。
だが、私はそんな意味で言ったわけではなく、照れからつい出てしまった言葉だった訳で、それを説明されるなんてもう、恥ずかしい事この上ない。
だがララはギルベルト様の言葉が不満だったようで、今のお言葉はアナリア様に報告ささていただきますと言っていた。
真っ青なギルベルト様に私は声をかける。
「……ギルベルト様は、いつも以上にかっこいいですね。その制服もとても似合ってます」
「あ、ありがとう…」
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