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48話くらいに出てたフラワージェというエルフさんが出てきてます。覚えてますか。。
『ここは…どこでしょう』
レシーは1人、王宮の中で迷っていた。
途中までレティシアの後をついて行ったはずだが、大きな図書館の気配に視線を動かし、再び視線を戻した時にはレティシア達の姿は無かった。
そもそも生まれ変わって今回はレティシアの魂として生を得たのだからレティシアと逸れるなんて事ありえるのだろうか。
『困りました、私は誰にも認識されないのに』
レティシアと合流したいが闇雲に探したところで今まで居た学園の何倍もの広さがある王宮の一間を探し当てる事など不可能だ。
向かった方向は分からなくは無いが、一本でも道を間違えれば最悪の事態になる可能性だってある。
しばらく周辺を彷徨ってみたが、レティシア達の声は全く聞こえず、闇雲に探し当てることはできないと判断する。
ここは、無難に出入り口で待つべきか。そこまで考えていると恐らく王宮で働く侍女達の声が聞こえて来た。
「見た?ギルベルト様の婚約者のレティシアさん?すごく地味じゃない?」
「見た見た、そもそも平民なんでしょう?パートナーに選ばれなかったらあり得ないわ。そんな幸運羨ましい」
「私は釣り合わなくて絶対無理、レティシアさんがちょっとかわいそう」
パタパタと早足で動きながらコソコソと話す3人が目の前を横切って行った。
ちょうど3つほど先の扉から出てきていたので恐らくそこにレティシアはいるかもしれない。
『ちょっと顔を出してみましょう』
すっと扉を抜けると、そこは侍女達が簡単な着替えをするスペースとなっていた。
恐らく仕事中にできた汚れを変えたり、少しだけ休憩をとったりするスペースなのだろう。
今は誰もおらず、しんと静まり返っていた。
『違いました……』
何も得られなかった情報に落胆しつつレシーが部屋を出ようとすると、後ろから声がかかった。
「お初にお目にかかります。レティシー姫」
『え……だ、誰ですか』
「私はフラワージェ。勇者と聖女と共に旅をしていたエルフです」
レシーは驚いていた。確か以前レティシア達が出会ったフローナという名前のエルフの体を借りたなどと言っていたエルフが目の前に立っているからだ。
そもそも先程まで人影もなく、突然現れた事もそうだが、フラワージェ自身も爆発に巻き込まれただめに体はないと話していたことも驚いた要因の一つだ。
魔法が存在するこの世界で何が起きても不思議ではないが、一切魔力の気配なく移動してくる事は簡単なことではない。
このエルフは恐らく只者ではないという事だ。
『ええと……何か御用ですか?』
レシーが問いかけると、フラワージェと名乗るエルフは満面の笑みを浮かべると、こう言ったのだ。
「私の勇者様を返してもらいにきたのです」
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