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前のページのギルベルトの言葉を入れているので重複してて読みづらかったら申し訳ないです。
いつもよりね、読みづらいのです。、
「ところで、勇者リヒュタインが死んだ時に一緒に死んでしまったのですか?」
レティシアの言葉にアギィトスは頭を悩ませた。
勇者が死んだ時、アギィトス自身の意識はほとんどない状態だったからだ。
気がつけば死んだ勇者の姿を外から見ており、僅かに残る悪魔の気配に『勇者は呪い殺されたのだろう』と考えることができた。その後すぐ、意識は消えた。
『勇者は呪い殺されたんだ、自分は勇者に封印されていたから自分も死んだとすぐに気がついた』
「勇者は呪い殺されたらしい。もちろん自分は勇者の中に封印されていると思っていたが」
『そして、よく分からないまま人間に生まれ変わっていた』
「よく分からないまま生まれ変わったようだ」
「生まれ変わり….レシーも同じようなこと言ってたな」
レティシアがそう呟くと、アギィトスは新たな考えに少し焦りを覚え始めていた。
あの場にレティシーは居なかったが、もしかして同時刻に彼女も死んでいたのではないのかという事だ。
それであれば勇者はただ呪い殺されたのではなく、レティシーと共に呪われた事になってしまう。
「なぜアギィトスさんは本に……いいえ、分からないのでしたね」
『そういえば本に移ったのだったな』
「え、そうなのか」
そして、思い返せば普通はおかしい事に気がつくだろう。
初めて人間として生まれ変わった時には、人間になったレティシーと出会った数日後、心臓発作で死んでしまった。
それは、本を里を訪れていたエルフから譲り受けた本を読もうとした後だったように思う。
そして、なにより…
『本に、体の中から何かが引きずり出されるような感覚があり、本と本体におそらく魂が分かれたんだ』
「アギィトスの意識がはっきりしてくると、本と本体に魂が分かれてしまい」
『そして、呪われた本からリヒュタインが俺を操り、結果的に意識は乗っ取られてしまった』
「本から意識を操られ、やがて再び意識は乗っ取られてしまった?つまり、どういうことだ」
アギィトスは思い出される記憶に、もう少し疑問を持つべきだったのだなと少し憂鬱になった。
いまのギルベルトのようにたくさん疑問を持つことができたはずなのに。何故あの時は出来なかったのだろうか。
話したこともないエルフから渡された本をただ受け取り、そして、恐らくその本にリヒュタインの意識は乗り移った。
出会っていたレティシーが生まれ変わったであろう娘も、その後本にいるリヒュタインにより意識は乗っ取られ、アギィトスとレティシーの意識は途絶えてしまった。
それからは、最早同じことの繰り返しである。
時にレティシーやリヒュタインの昔の記憶を持って生まれた人物も居たが、結果的に全ての人物は本にいる呪われたリヒュタインによって意識は乗っ取られ、戻ることもなく死んでいった。
恐らく、リヒュタインは愛されたかったのだろう。
心優しいレティシーが今までのどの女性よりも美しく、可憐な人だと、気がつくのが遅かったが為に愛されなかった自分と。
そして人として優しく接していた為に愛された、話し合う事が叶わないアギィトスをずっと妬ましく見ている時、突然に呪われて死んだのだ。
その想いが呪いに反映されてしまった可能性も十分に考えられる。
誰が呪いをかけてきたのかアギィトスは考えた事がなかったが、レティシーもこの運命に巻き込まれているのであれば2人を知る人物、エターナル姫以外には居ないはずだ。
つまり、隣国の呪いについて調べれば何か分かるのではないかと、アギィトスは考えた。
『ギルベルト、隣国の呪いについて調べるんだ。レシーがいるのだろう、彼女に聞いて……』
「今、声が聞こえないらしいんだ」
『……どういう事だ?魂がレシーであれば、そもそも離れる事などできないはずではないのか?』
「レティもそれは分かってると思うけど、なんでだろうな」
『ふむ、呪いの内容に関係がありそうだな』
どちらにしろ、呪いについて調べなくては、とアギィトスは思うのであった。
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