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電源が急に落ちて書いてた文が消えました。
かなしい
少し短めです
ギルベルトは森から帰る時から記憶が混沌とし始め、今目の前に映る景色が果たして昔見たものか現在のものだか分からなくなる瞬間が出始めた。
母からのレティシアと婚約が可能との知らせも、どうして婚約が可能であったのかを頭が上手く捉えるとこができずただレティシアとの婚約の事実を喜ぶことしかできなかった。
そんな、目が覚めないレティシアを見つめている時に、突然持っていた本から声がしてきたのだ。
『レティシアへの気持ちは譲ろう、このまま深く潜るのならば』
それは、まるで誘惑のようだった。
この気持ちが分からなくなる位ならいっそ、精神を手放してしまっても良いのではないかと思う時も出てきていた。
何より不思議だったことは、本を離そうとは思わなかった事だろう。
日に日に声は大きくなり、レティシアの側にいなければ気持ちが不安定で気がついた時に死んでしまう気がしていたのだ。
だから、レティシアが本を手から離してくれた後は驚くほど気持ちが穏やかに戻った。
「エルフ達はこの本を渡してきた時に『何も知らない』と言っていた。何かの条件になっていたのかもしれないな」
「条件?」
「まぁ、分からないが……そうでなければあえて、その言葉を選ぶことはないだろうし」
「何かがある事を案じていた感じって事ですか?」
「もしくは、知っていると答えると殺されてしまうとかね」
「なるほど、あり得そうです」
あの本には『この魂は私のものだ』と書かれていたと言う事は、示すのはギルベルトの魂で間違いなかったが、本が手から離れて倒れ、目が覚めたときに聞こえてきた声は全く違うことを話してきた。
『そろそろ解放してくれ、うんざりだ。何度も同じ事の繰り返しで気が滅入る』
そんな言葉を並べてきたのだから。
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