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「という訳で、レティシアはギルベルトの補佐として励むように」


 __________________



「想定通りだ」

「想定外です」


 陛下からの言葉はこの王宮で生活し、ギルベルト様の補佐として魔獣討伐を主に行うよう命じるものであった。


 先日命じられた魔獣の討伐をいたく評価された結果らしい。「例の2人の魔力はただの見せ物だと後々に行われた実験で判明していた。加えて、魔獣からもレティシアの魔力が発見された」と、淡々と宰相の口から語られて、私は逆に冷や汗が出そうだった。


 あの例の2人の話になった時の陛下の顔と言ったら。

 常に笑顔だったのに一瞬だけ眉毛がピクリと動いて指を二回だけとんとん、と肘掛に叩いていた。

「我が優秀な魔剣士を、わざわざ危うい状況に持っていくなど逆に能力が必要だな」と宰相に小声で話したらしい。


 あの2人、学園ではヒーロー扱いをされていたようだが、この後は一体どうなるのだろか。


「陛下としては、学園で管理されていたレティシアを自分の手の元に置けて満足なんだろうね。レティシアがここに居れば俺も逃げないし」

「なるほど、私はギルベルト様……ギル様の重りですか?」

「まぁ、その役割もあるけどそれだけではないよ」



 ギルベルト様はそう言って立ち上がった。


 私たちは今客室で休憩をしているところだ。

 陛下との面会を終えて今度は夕方に行われる小さなパーティーに出席しなければならないらしい。


 窓際まで歩いたギルベルト様は、窓を開けるとふうと息をついた。


「平和だ」

「平和ですね、このまま時が止まれば良いのに」

「この後のパーティー出たくないだけでしょう」

「ええ、全然出たくないです」


 そして私は、この後たくさんの人達に囲まれてお風呂に入れられて化粧を施されてドレスを着させられると聞いた。

 正直逃げ出してしまいたいところなのだが、ララがそれは近場で見守ってくれている為に叶うことはないだろう。


 小さなパーティーと聞いているが果たしてどれほど小さいのかが見ものである。

 ララには作法など習っているが、まさか初めてを王宮で行うとは予想もしていない。きっと、ララは張り切って私を見送りたいのだろう。

 憂鬱に思っていると、ギルベルト様がララに声をかけた。


「ララ、紅茶を淹れてくれないか」

「……かしこまりました、レティシア様ミルクは?」

「いらないかな……」

「はい、では淹れて参ります」


 ララが渋々部屋を後にすると、2人だけになったと気がついた。何故かレシーはずっと喋らないしなんだか久々の空気に少しだけ緊張してしまう。

 恐らくララを追い出してくれたギルベルトに感謝を述べるべきか迷いチラリと彼を見ると、ニコリと笑われた。


「逃げるなら今のうちだけど」

「……いえ、逃げたら面倒そうなので」

「そう、じゃあ俺の話を聞いてくれる?」


 すっきりとした顔をしたギルベルト様からは、先日から続いていた不安定な彼は現れそうにない。

 何かが解決でもしたのだろうか。


「分かりました、聞かせてください」


 そう言って私は、ギルベルト様へと体を向けた。

お読みいただきありがとうございます!!

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