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よろしくお願いします。
これはもう諦めるしかないと思った。
私の目を覗き込んだその人は、作り物かのような綺麗な顔に笑みを浮かべ私の手首を壁へと押しつけている。
「レティシア、もう一度聞くよ。貴方は、私の、パートナーだね?」
「………わ、私は、……」
抗えないそのパートナーとしての共鳴に、私は____。
人生は頑張りすぎないように生きる事が得策であるといつ思ったのだろう。
私は自分から発する微力な魔力を手元の練り物に混ぜ込みながらそんな事を考えていた。
私が通っている学校では魔法が使える平民と魔力が少なめな貴族達が通うような、ある意味有名な学校だ。
魔力を多く持ち、自由自在に操る事ができるのは血の関係で貴族が多く、そして魔力が多い平民は小さい頃に貴族が養子として引き上げる仕組みを取っているため平民には僅かほどの魔力を持つ者しか残らない。
だから平民の中で魔力が使える私は、平民の割には将来有望のはずだった。
だが現在、私には全クラスで唯一『パートナー』がいない人間というレッテルが貼られている。
この世界には魔力を持つ者には必ず1人に対してパートナーとなる人物が存在する。そしてそのパートナーは自分の魔力との相性が異常によく、今までの自分の力よりも何倍もの効力が発揮できる、という。
そんな人物と出会える確率は魔力量が下がるにつれ高くなり、魔力量では最下位の学校に通う私が出会っていないのは魔術師としてかなり致命的な事であった。
既に来年卒業する年である4学年では、パートナーを組んでいる事を前提とした授業が殆どとなっており、私はその授業をかなり手に余らせている状態だ。暇過ぎて短い暗唱で魔法が使えるようにするなんて事もやってしまった。
なんと言っても火を出そうにもロウソク程度の火しか起こさないため、料理をする時位役に立たせようと練習した結果だった。
そしてまだ時間のある間に本を読みながら魔法薬を作れるように練習を始めていた。
魔法薬を売るお店は存在しており、登録ができれば普通に働くよりはかなり稼ぐ事ができる。
家族の中で唯一魔法が使えるからと通わせてもらっているというのに、私が1番稼げるようにならなければ意味がない。
しかしパートナーも居らずこの魔法量では頑張って冒険者をやってもそこそこしか稼げないだろう。という事で今の現状にたどり着いた。
家事に役立ち、魔法薬を作れたらもう家族は万々歳なはずだ。
それくらいしか今の私には出来る事がなかった。
パートナー探しに躍起になり、誰とでも相性が良くなるように色々な魔法を勉強したあの頃を思い出して「クラスで残ったパートナー無しが私1人になった時に頑張り方を変えたんだった」なんて、独り言を呟いた。
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