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堕天使の堕落生活  作者: 三日月らびっと
第1章 ゲーマー
2/12

一話:再始動

初めまして、三日月らびっとと申します。 

ずっと小説を書きたくて、ついに小説家になろうを始めました。

私が執筆をする目的は2つ。


1.私の小説を読み、読者様に楽しんでもらうこと。

2.ゲームのシナリオライターになるために、より良い文章力、表現、アイディアなどを培うこと。


始めたばかりなので、現状の文章力、表現、アイディアに乏しく未熟な部分があるとは思うのですが、今後ともどうぞよろしくお願いします。

 「——んっ……」

 フーマンは閉じていた目をゆっくりと開くと、光の間ではない真っ白いものが目に移り、「はっ」と無意識に言葉をもらす。

 そして何もないはずの背中に、いや、それだけじゃない。後頭部や腕、足に違和感がある。

 それに気づき、ガバッと素早く上半身を起こす。

 「え……なん、だ、ここは?」

 そう言いながら、恐る恐るその違和感の正体に手を伸ばす。

 「これは、いったい?」

 その手からくるザラザラした感触は、こちらの世界では『畳』と呼ばれるもので、天界には存在しないものである。

 

 ——これは、初めて見るな。私が知らないということはおそらく天界にはないのだろう。ではここは……。


 この不可解で奇妙な現象について頭をフル回転させ推察を始める。


 ——兄さんの言葉からして、おそらく追放されたのだろう。ということは、天界では無い?

 ——しかし、情報が少なすぎる。


 見渡すと、扉が二つと窓が一つ、そして流しがが一つ。


 ——見る限り、扉の一つは閑所に繋がっているのだろう。天界ではそのような仕切りはなかったからな。あるか無いかの違いだ。

 ——そして、天界のものとはまた違った流しだな。どうやら何かの金属でできているみたいだ。かすかに水の匂いが残っている。


 加えて、それらを繫ぎ止めている白い壁が見え、合計八枚ある緑の板が床に綺麗に敷き詰められている。


 「なるほど、構造自体は私の部屋と同じのようだ」

 ——一通り頭を整理した後、もう一つの扉を確認するために腰を上げる。

 スタスタと近づき、取手に触ろうとした瞬間——。


 「……なんだ?」

 扉の下部についている四角いものに目を向ける。

 

 ——おそらくポストだろう。

 

 そう思いながら、ポストを開けると、そこには四つ薄いものが入っていた。

 とりあえずそれらを手に取り、畳の上に並べる。


 一つ——フーマンへと書かれた一枚の封筒。

 二つ——私の顔が描かれたカード。何やら知らない文字が印字されているみたいだ。

 三つ——細長い紙、いや、メモ帳か? 赤色をしているが中は白い背景に黒い文字が印字されている。

 四つ——またさっきのものとは違う赤いカード。


 「うーん……、まず一つ目のこの封筒。これだけが唯一読める」


 「どれどれ」と軽く助けを求めるように口に出しながら、その封筒を開封する。

 中には一枚の紙が入ってあった。



 『愚弟フーマンへ。

 貴様は今、地上にいる。私の力で貴様を転送したのだ。

 貴様は今後一切、天界に足を踏み入れてはならん。

 貴様は堕天使、追放者だ。

 そのことを肝の命じ、一生の恥だと思え。

 次に添付物の説明だ。

 一つは貴様が地上で生きるための身分証、そして、お金が入っている通帳にそのカードだ。

 これは兄としての情けだ。心して受け取るがいい。

 最後に今貴様がいる部屋、それは貴様のものだ。

 しかし、『家賃』というものを月々払うことが義務付けられており、それを払わないとまた追放されるので注意することだな。

 大天使サリエラより』



 「へっ、なんだ、優しいじゃんっ」

 彼の顔に少しばかりの笑みがこぼれる。

 「よしっ、とりあえず外に出てみるか」

 身分証や通帳、カードを一式手に持つとすぐに立ち上がり、扉の取手を持った後、前に体重をかけながらグイッと扉を押した——。


 ガタンッ‼


 と、扉は開かず大きな音だけが部屋中に響き渡る。


 ——どうやらこの扉は引き戸らしい。


 彼は扉を少し引き、開くことを確認してから勢い良く開いた。


   ♦♦♦


 「ほーん、でかい建物がいっぱいあるんだなー」


 ——遡ること、時刻は昼過ぎ。

 彼は交差点の角に着くとふと立ち止まり、そこら中にある大きなビルを緩やかに見回す。

 そこは『アミューズメント街』と呼ばれており、ゲームセンター、カジノ、遊園地、カラオケ、ビリヤード、ダーツ等、様々な娯楽施設で遊ぶことができる、大都市『ンヴァ』にある一つの有名な街で、彼のアパートから東に向かって徒歩五分で着く距離にある。

 

 ——私は部屋を出た後、青くお洒落な帽子にモノクロの羽織ものを着た、いかにも私と同じくらい若々しく見える綺麗な女性が、私の右隣の部屋の前で何やら扉をガチャガチャしているのを見かけた。

 なので、好機を逃さないよう思い切って「遊べるところを探している、どこか知らないか?」と尋ねたところ「……なら、『アミューズメント街』に行ってみたら、どう?」と、一瞥した後に少し冷たいような返事が返って来た。

 しかし、それよりも『言葉が通じてよかったぁ!』、『心優しい人もいるんだなぁ』と思い、とにかく来てみたのだが……。


 「どうやら、ここで色々遊べるらしい。とりあえず、口座から全額の三百円を引き出したのだが、本当にこれだけで遊べるのか……?」


 彼は、口座からお金の引き出し方を学んだため、この短期間でお金に関連することは理解できるようになったが、こちらの世界には未だ馴染めていないようだ。


 「とりあえず、入ってみるか……」

 彼は一番目についた青く際立つ大きな建物を見るや否や颯爽と動き出した。

 

   ♦♦♦

 

 ウィィィィィン

 

 無色透明なガラスの扉がフーマンに反応し左右同時に自動で開く。

 

 「うはっ、この扉すげぇなっ! そしてなんだ、この人の数……!」

 驚くノーマン。そこに——。

 

 「お初にお目にかかります。当店のご利用は今日が初めてでございますか?」

 一目でベテランのスタッフだとわかるくらい、きっちりとスーツを着こなし整った姿をした男が彼に話しかける

 その言葉に好奇心を隠せない様子でフーマン。

 「ああ、初めてだ」

 「では、こちらへどうぞ」

 彼は言われるがまま受付カウンターまで足を運ぶ——。

 

 「こちらは受付カウンターと言いまして、主に、当店専用カードの申請・発行、チップの受け渡し、お金の換金ができる場所となっております」

 「専用カード?」

 「はい、当店ではお客様のチップ数などの全ての情報を専用カードの中に記録させていただいておりますので、遊ばれる際には必ず申請と発行の手続きをおこなってくださいませ」

 「なるほど……では、早速頼んでもよろしいか?」

 男は「かしこまりました」と言いつつその場を後にし、すぐさまバインダーに挟まれた申請用紙を手に戻って来る。

 「こちらにご記入をお願い致します」

 しかし、彼にはその紙に書かれてある文字が読めないので、教えもらいながらも必要事項を記入する——。


 「『フーマン』……っと」

 彼は自分の名前を読み上げながら最後の記入欄に『Human』と書き終えると、再び男に申請用紙を渡した。

 男はそのまま受付カウンターの裏へと掃けて行き、やがて姿が見えなくなった。

 ——そして、今度は新品と言えるほど光に反射しているカードを持ってやってくる。

 「お待たせいたしました。こちらがあなた様のカードでございます」

 「ありがとう」

 「では、次にチップの交換と各テーブルでのルール説明をさせていただきます」

 この説明の後、彼はすぐさま全額三百円をチップに変え、すぐにゲーム場へ移動する——。


 「へぇ、ここが……」

 ——そう、私が来た場所は、対CP用『二人零和有限確定完全情報ゲーム』ができるテーブル。

 《二人零和有限確定完全情報ゲーム》——必ずプレイヤーが二人であるため、プレイヤー間で利害が完全に対立すると、必ず一方のプレイヤーが得をし、他方のプレイヤーが損をするゲームである。加えて、ゲームが必ず有限で終わり、サイコロなどのランダム要素が介入することなく、常に全ての情報が両プレイヤーに公開されている状態であることが特徴的である。

 例えば、チェス、将棋、オセロ、囲碁、五目並べ、○×ゲーム、七五三ゲーム、などが挙げられる。


 そして、このテーブルでは相手がCPであるため、必ず、自身が賭けた金額と同じ金額を賭けてくれるというルールがある。つまり、勝てば倍、負ければゼロだ。

 さらに、このゲームの良い点は、好きな金額をかけることができる上に、賭け金の追加ができないことだ。これは、余計なお金を失わずに済むということ。最も、ゲーム内容と難易度だけはランダムだから負け続ければ意味はないが、な……。


 心の中で「そんな奴、いるのか?」と思いながらもゲームを進め、次第に没頭する——。


   ♦♦♦


 「はあぁぁああぁぁあぁぁぁあぁぁぁああぁぁあぁ」

 彼は自分の部屋に帰るなり、大きな溜め息をこぼす。


 ——現在の時刻、深夜ゼロ時。

 彼はよほど熱中したのか、疲れを見せる。

 「まさか、あれだけやって千円の勝ちとは……」

 ——そう、似たようなゲームが天界にもあったので、彼はかろうじてルールを把握できた。

 しかし、それでも側から見れば強いと言われる部類に属するものの、やはりCPUの難易度がランダムだったこともあり、かなり苦戦をしたようだ。


 「くそぉ……、もう少し、せめてもう少しだけでも増やしたかったなぁ……」

 仰向けに寝転がると、自身の能力不足ともっと増やせたであろう期待に悔やみながら愚痴をこぼす。


 「…………」

 しばらく沈黙が続くと、冷静に今日の出来事を思い返し——。


 「思っていたより……サイコー。退屈せずに済みそうだ……!」

 

 その時の彼には、目を輝かせながらも笑みが浮かんでいた——。


最後まで閲覧してくださりありがとうございます。


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 あと、感想やレビューもいただけると嬉しいです。


 その感想やレビューを参考にして、皆様と一緒により良い作品にしていきたいと思います。


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