第69話 最終目標は『0721話』!!
前回までのあらすじ!!
どうやらアリッサはチョロイン属性を持ってたのか、オレが強気で暴言を吐くと素直に言うことを聞いてくれた。『いいのかよそんなんで……』呆れながらにそう思っていても、物語とやらは一向に止まる気配を見せなかったのだ……
「アナタ様! ついにこの『あな嫁』も第69話を迎えてしまいましたよ!!」
「……えっ? ああ……そうなの???」
初っ端から意味不明な静音さんのセリフ。
物語に一切関係ないのに、なんで『第69話』というのを強調しているのか意味が分からず、ただ生返事をするだけだった。
「69話なんですよアナタ様っ!!」
「…………」
すっげぇ話数を強調されてんだけどさ……数字に意味があるのか? そんな疑問顔をしていると、
「まったくもう。アナタ様はニブイのですね!! 69とは『シックスティー・ナイン』のことなんですよ!! これはいわゆる隠語でして意味はピーピー……なのです!!」
「おっふぉ~っ!? このあな嫁で初めて『ピー音』が導入されちゃったぞ♪ どうすよおいっ!!」
作者にとも読者にともわからない苦言を示すと同時に、オレはちょっとだけ興奮していた。
まさか自称美少女である静音さんが、自ら下ネタを言ってくれるとは思いもしなかった。……まぁほんとはちょいちょい言ってるんだけどね。
だが「まだ読者にバレていないはずだっ!!」っと信じることを夢みて、そのままネバーっとしながらも物語を進めることにした。
「さて、これからど……」
「で、アナタ様。お金の工面はどうするのですか?」
「……どうしようかね~」
オレが口にするはずだったセリフを静音さんに横取りされてしまい、ただ肯定するしか道は残されていなかった。
せっかくのアリッサの申し出も全力で断ってしまったいま、再びもきゅ子を交渉の材料にするわけにはいかない。だが、そもそも金の工面をしないことには魔王を倒すどころか、今夜の宿……いいやご飯にすらありつけず、傍にいる天音達がいつまたもきゅ子を食べようとするか判ったものではない。
良いアイディアが考え付かないので、商売をしている新ヒロインことアリッサに何か良い方法はないか聞いてみることにした。
「アリッサさっき申し出を断ったばかりで悪いけど、オレ達ほんと金に困ってるんだよ……何かさ、金を工面できる方法を知らないかな?」
「うーんそうだね~。アンタらそもそも売る物すらないんだよね? 一体それでどうしろってんだい……まったく」
さすがのアリッサでも、そもそもオレ達に売る物がなければアイディアなんぞ浮かぶはずがない。そう言いたそうな困った顔をして悩んでいた。
「んっ? アンタ……そこの赤い髪をした嬢ちゃんが持ってるのはもしかして『剣』じゃないのかい? それは売らないのかい? 見たところ上物のようだけど、そのなら『剣』ならあたいのとこでも買い取れるし、上物のようだからかなり高く買い取れるんだけどねぇ~」
見た目ビッチとは裏腹に、さすがは武器屋の主である。目敏くもアリッサは天音が腰に携えている剣に目をつけ、剣の価値を値踏みするかのように見ていた。
「あ、天音の剣ぉ~っ!? いやいや、これは『伝説の剣』だしさっ!! そもそもこれがなければ『魔王』を倒せなくなるって言うし。いくら金に困ってるからと言って……」
「ふむ。背に腹は代えられぬというから……不本意ではあるが、この剣を売ることにしよう!!」
「はぁっ!?!?!?!?」
(何か何か天音先生が滅茶苦茶なこと言い始めたんですけどっっ!! しかもオレがせっかく丁寧に拒否説明していた件をすっ飛ばすような事言いやがって!!)
「お兄様……ご飯の為なのですわよ!! 『伝説の剣』を売るくらいなんてことはありませんの!!」
「そうですよアナタ様。そもそも『お金がなければご飯は食えぬ!?』っと言うではありませんか!! それともなんですか、アナタ様はワタシ達に無銭飲食をして捕まれとでも言うおつもりなんですかっ!!」
「もきゅもきゅ!!」
「ぐっ!?」
食い物の恨みは恐ろしいと聞いてたが、ここまでとは……。天音以下、ヒロインズの方々は唯一魔王を倒す事ができると言われる『聖剣フラガラッハ』をご飯のためだから!! っという理由で武器屋に売るつもりらしい。
「そうだぞ!! この剣を売るのが嫌と言うならば……キミにはちゃんとした金を工面する代案があるのであろうな!! さあっ!! いざいざいざざざざざざーっ!!」
天音が鬼気迫る感じでぐいぐいオレに近づき、「他に道があるのか!!」っと代案を後半バグ気味セリフ調になりながら押し迫ってきた。
「…………うーん」
頭をがしがしと掻き、どうすれば良いのかと考えた。……考えたが、まったく何にも思い浮かばない。
オレは今置かれている状況を確認する意味でも、もう1度頭の中で整理することにした。
「(金がないから、宿屋にもご飯にもありつけない。だからと言って売れる物は天音が持っている伝説の剣『聖剣フラガラッハ』だけ。で、アリッサもそれなら買い取っても良いと言っている。……でもそれを売ってしまったら、魔王を倒せないわけだろ? これは……もう積んでるだろ)」
オレは『ツンデレ』に次ぐ新たな語句『ツンデル』を新規開発しつつ、どうにか『デレる(解決策)』何かを模索していた。
「……なんならさ。…………こうしたらどうだい?」
アリッサには何か代案があるのか、声をかけてきた。
「うん? アリッサには何か妙案があるのか!?」
オレは藁をも縋る気持ちでアリッサの言葉へと耳を傾けた。
「もちろんあるに決まってるよ。これでものんびり亭の主だしね、すっごく簡単なことさね……アンタらはあたいから金を借りればいい。ただそれだけのことさ」
「へっ? アリッサから金を借りる? ……アリッサは見ず知らずのオレ達に金貸してくれるって言うのか!?」
アリッサの思いもよらぬ申し出に驚いた。
だって会って数分。しかもオレ達の自己紹介もしてないのに、アリッサは金を貸してくれると提案してくれているのだ。そりゃ~驚くに決まっている。
「…………何か『条件』があるのですよね?」
「へっ? じょ、条件???」
オレは馬鹿みたいな顔をして静音さんに聞き返した。
「アナタ様。アナタ様なら見ず知らずの人に、無条件でいきなりお金をお貸しになるでしょうか?」
「あ、ああ……確かに! 静音さんの言うとおりだわ!!」
ようやく静音さんの言葉を理解した。さっすが自他認める守銭奴の静音さんだぜ! 冷静にもアリッサが考えてる意図とやらを察知していたようだ。
「で、です……アリッサ。あなたのようにお店の主が、『無条件』でワタシ達のように『素性の知らぬ輩』にお金を貸すわけもないですよね? 一体何が条件なのですか? 今更もきゅ子ではないでしょうし……」
「もきゅ~ぅ?」
ちらっと静音さんはもきゅ子に目を向けた。もきゅ子は何故自分が見つめられているか解らぬ顔をして、静音さんを見ていた。
「……ふん。もちろん条件はあるさね。あたいが金を貸すんだ。人に金を貸すってのには『条件』くらいは必要だろ? ましてやアンタらの素性をあたいは知らないわけだしさ」
アリッサの言ってる事もすごく理解できる。……だからこそ、アリッサが示す条件とやらが気になる。
「アリッサ……金を貸す条件って何だよ?」
オレは冷静さを取り戻すフリをして、静かに聞いてみた。
「ま、何のことはないさ。金を貸すのにアンタらを信用できるかと言えば、まだ信用するに値しない。だからさ……保険の意味でも『担保』として差し出せばいいのさね。そしたらそれに応じて金を貸してあげるよ」
「担保ですか!?」
「担保ぉ~っ!?」
(アリッサの言ってることも当然と言えば当然のことだよな…………あと何かさ、今オレと同時に静音さんが変な読み方しなかったか? オレの気のせいだよな?)
「で、その担保とは何なのですか!? 綿棒や座布団ではダメなのですか!?」
「…………」
おっほぉ~うっ。もはや気のせいとか聞き間違いのレベリングなんてそんな些細な次元の問題じゃなかったね。普通に静音さん下ネタ全開中だっただけだわ。
69話というある意味で節目の話数だからか? しかも綿棒では先端が小さくて細いから代替品にはなりませんし衛生面が心配だからねっ!! ……あと座布団ってなんだよ???
「(もしかしてだけど……担保が言いたいが為に、資金不足になって剣を貸す話になったわけじゃないよな???)」
オレは今後の展開が不安になりつつ、きっと違うはずだ……っと力なく思うことしかできなかった。
作者の巧妙なルビ振り技術に寒心しつつ、お話は『0721話』を最終目標に70話へと突き進む!!




