第66話 童貞喪失催促理論
前回までのあらすじ!!
のんびり亭のお姉さんに物を売りに来たのに、まったく何にも持ってないのがバレてしまったのだった……
「あっ、いやですね……い、今売る物を考えますから!」
お姉さんが手に持っているサーベルが怖くて、その場限りの言い訳を考えようと画策した!
「今考えるってアンタら……今までその事に気付いていなかったのかい!?」
だが、お姉さんに速攻でバレてしまったようだ。
「ご、ごめんなさいお姉さん!! 実はオレ達売る物を何も持っていなくて……」
オレは正直に話してどうにかお姉さんの機嫌が少しでも良くなるよう謝った。
「ふん。アンタらを初めて見た時から、どうせそんなことだろうと思ってたよ。……ったく」
どうやら初めからバレバレだったようだ。先ほど値踏みするようにオレ達を見ていたのも、その一環なのだろう。
……さすがは商売をしているだけはある。このお姉さんは人となりを見極めることに、とても精通しているようだ。
「お姉さんほんと、ごめんなさい!!」
オレはガバリっと勢いよく、頭を下げた。
「ふん……まぁいいさ。許してやるよ」
意外や意外、お姉さんはあっさりと許してくれた。
さっきはあんなに怒っていたのに……女心とは、かくも難しいものだ。
「で、だ。……アンタらは『金』が欲しいんだよな?」
「え、ええ。宿屋に泊まる金すらなくて……。で、ですが売れる物がなくて……」
お姉さんは再度確認するように聞いてきた。何故だろう???
「それならさ、ソイツをあたいにくれるってんなら、金をいくらか都合してやってもいいけどねぇ~」
お姉さんはペロリっと舌舐めをすると、あろう事かオレの方を指差しながらそう言ってきた。
「……へっ? お、オレをッ!?」
(なななな、なんだ? なんだ??? このお姉さん、いきなり何言っちゃってんの!? えっ? えっ? もしかして一目惚れとかそんなお米ブランド的事柄ですか!? あわわわわ、オレはこんなビッチビチなお姉さんに『童貞』を食べられちゃうの??? ……あっ、それもいいかも♪)
などと童貞喪失催促理論を妄想し内心喜んだのだが、ここでぬか喜びだけは絶対にできない。何故ならこの作品が『あな嫁』だからだっ!!
毎度毎度狙い済ましたように、いつも良いところで大外からガッチャガッチャっと、ロックピックのようにフラグを外してくるのだ。
たぶん今回もお姉さんにこんな思わせぶりな態度をとらせて、実際は「奴隷の如くメシもロクに与えられず、馬車馬のようにただ下男として働かされる!?」な~んて、オチも十二分に想定できるからである。!
だが、そんなオレの予想は大外れてしまう。
「そんなにカワイイんだ♪ 夜はあたいがた~っぷり可愛がってあげるよ? なんなら今からでも、あっちの宿屋で『ご休憩』がてらに添い寝くらいしてもいいしさ」
「ズッ・キューン♪」
お姉さんは少し照れながらそう言って誘ってきた。宿屋で『泊まる』『ご休憩』とジズさんが言って「変だなぁ~」っと思っていたのだが、もしかするとあれが前フリだったのかもしれない。
「きっと騙されてる! 騙されているぞオレ……」そう心の中で思ってはいるが、時に男とは例えそうと解っていても騙されてしまう生き物なのだ。悲しいけどSAGAいわゆる性ってやつなのよね、これ。
そんなアンリミテッド・性に打ち負けそうになっていると、それまで沈黙を貫いていたヒロイン達が口を開いた。
「くっ!! お、お金の為だ……それも仕方あるまい」
婚約者である天音は「お金のためだから……」っと渋々ながら納得した。
「ならワタクシも、記録係りとしてその寝取られに参加させてもらいますわね♪」
NTRに興味津々の義理の妹葵ちゃんは、ビデオカメラ片手に参戦を表明した。
「……ま、それも仕方ありませんね(ぷいっ)」
お金が絡んでいるからてっきり乗り気かと思われた静音さんだったが、機嫌が悪そうにぷいっと顔を背けてしまった。
「きゅ~っ」
唯一もきゅ子だけがオレの服のすそを引っ張って悲しそうに鳴いていた。少しでもオレと離れるのが怖いのだろう。
……まぁ他のヒロイン達に食われないかの心配も含まれてるだろうがな。
「みんな……」
「どうやらアンタ以外、みんな賛成のようだね……で、どうすんだい?体で支払わせるか、それとも別の金策をするか。2つに1つしかないよ!」
すべてはオレ自身の答えで決まってしまうようだ。…………どうする?
『お姉さんに騙されてるかもしれないが、体で支払い対価として金を得る』
『別の金策を探ることにする』
そして、オレが下した決断とは……『体で支払う』だった!
「分かったよ。お姉さん……言うとおりにするよ!!」
「おっ! ほんとかい♪」
お姉さんはオレの選択に嬉しそうにしていた。もちろん、この選択はすっごくすっごく不本意だ。……ほ、ほんとだぞ!!
だが、お金がないのも事実なのだ。それにどちらにせよ売れる物は何にもない。それならいっその事……このお姉さんに騙されてみるのも良いかもしれない。
け、決して読者が考えてるような、やましい事は一切合切これ~ぽっちも考えていないからな! だがな……お姉さんから『夜のお供』を命じられてしまえば、それも仕方のない事なのだ♪ むしろ買われたオレに反論できる余地はない!!
……そう憤る読者達を納得も得心もさせてみる。
「ふっ。そういやあたい達、お互いの名前も知らないままだったね! あたいの名前はアリッサ。『アリッサ・アフェランドラ』って言うんだ。ご覧のとおり、あたいはこの『のんびり亭』の主さ。ま、アンタらなら『アリッサ』って呼び捨てでもかまわないよ。んっ!」
アリッサお姉さんは自己紹介をすると、右手を差し出し握手を求めてきた。きっとそれはアリッサお姉さんなりの友好の証なのだろう。
どうやらこのアリッサお姉さんは、仲良くなればとても友好的になるようだ。
そうしてオレも、アリッサお姉さんと握手をしようと右手を差し出した。
右手を差し出したまま、お話は第67話へとつづく。




