第57話 復活の儀式inお真面目版
前回までのあらすじ!!
あな嫁版『復活の儀式』によって、天音と葵ちゃんが復活した! ……したのは良いのだが、何かが『変』だった。そしてオレは数話前の伏線、復活させる為のお金が足りないという現実を強制的に思い出されることになってしまう……
「ちなみに静音さんに聞くけど、アレはさ……生きてるんだよね?」
「えっ? ああ……え~っと、は、半分だけ生き返った感じですかね?」
「は、半分かぁ~。まさかここでそのフラグを回収してしまうとは予想もしてなかったぜ!」
そう数話前で復活させる為のシルバーが10シルバーと半分しかなく、静音さんが「半分だけ生き返らせる……」と言っていたのは、まさにこのゾンビ状態を指していたのだ。
「あーーー」
「うーーー」
天音と葵ちゃんはあうあう言いながら、教会内をウロチョロっと意味も無く歩いていた。幸い服などはちゃんと着ていたのだが、先程静音さんが行なった自称『復活の儀式』とやらのせいで所々傷だらけとなり、手足もあらぬ方向に曲がり(=これは54話で無理矢理棺に詰め込んだのが原因だと思う)、またお腹からは色んなモノがぴょんこぴょんこ♪ などと中身が踊りだすように飛び出している。
……まさにそれは女の子が、決して他の人に見せてはいけないモノだったのかもしれない!!
「こわしゅぎ。静音さんコレはさすがにマズイでしょがっ!! だって何かその……色々いけないモノが飛び出しちゃってるんだよ!?」
「きっと天音・葵両お嬢様方もサービス精神旺盛なんですよ♪ ほら、色々とポロリとして読者の方々にアピールしていらっしゃるでしょ?」
天音と葵ちゃんは共々歩く度、お腹からドロリドロリ……などと色んなモノを外へと排出している。
「うん。すっごくスプラッターホラー感をアピールしてるよねぇ~。それにもうポロリを超えて、もはやドロリだよね?」
「きゅ~っ」
この光景が怖いのか、もきゅ子でさえもオレの服の裾を掴んでいた。
「(良かったぁ~。これが『普通』じゃないと思ってるヤツがいて。まぁ生憎と人ではなくドラゴンなんだけどね……。でも下手すりゃ、もきゅ子が「じゅるりっ」とか言いながら捕食……もとい、もきゅ子が天音と葵ちゃんを『もぐもぐ』するのかと思ってたけど、この様子なら杞憂に終わりそうだな)」
オレはもきゅ子が怖がり、食欲旺盛になってしまう前にお話を進めることにした。
「つ、つまり復活させる為のお金が足りなくてその……半分だけ生き返らせた。要するに……あれは半分生き返った『生きる屍』なんだよね?」
「そうですそうです。これが『ゾンビ』です!?」
オレ達はお約束の『あれゾン? これゾン!?』のネタを披露したわけなのだが、これは倫理的に色々とダメだろう……。
「(そもそもどこの世界にヒロインが女の子として、いや人として大切なモノをドロリしたままゾンビになって、教会内をウロチョロしてる物語があるんだよ!? あまりにも斬新すぎて描写が追いつかねぇわ!!)」
「ちっ……しゃあーねーですね。わかりましたわかりましたよ。真面目にすりゃあいいんでしょ? すりゃああっ!」
物凄くやさぐれた口調になりながら、静音さんは真面目な『復活の儀式』とやらをしてくれるらしい。
「ま、真面目に出来るなら最初からしてくれよ……ほんと」
オレは「助かったぁ~。これでゾンゾンしなくて済むわ~」っと思って油断してしまった。
「ほ~ら天音お嬢様ぁ~♪ 葵お嬢様も~さっさとこっち来いやぁ~Death♪」
「あ~~~?」
「う~~~?」
まるで静音さんの呼びかけに応えるように、天音と葵ちゃん両ゾンビ風味が両腕を突き出したまま、ゆったりと静音さんの元へ歩いてくる。
「う~~~ん。歩みがとても遅いですね~」
「いや、まぁ……ゾンビだしね」
「あ~~?」
「う~~?」
足が遅いならではの怖さもあるだろうが、むしろ足が速かったら余計に怖いわ。
「アナタ様!!」
「な、なんだよ静音さん……」
オレは静音さんに呼ばれ悪い予感しかしなかった。……が、とりあえず重要なことかもしれないので、聞く耳を持ってみる。
「アナタ様……ちょっくら餌食になってくれませんか?」
「な、なんでだよっ!? またオレにエサになっていうのか!!」
だが、もしかして『儀式』とやらをするのに時間を稼ぐ必要があるのかもしれない……そう思い聞いてみた。
「静音さん、それはさ……絶対に『復活の儀式』の為には必要なことなんだよな? すっげぇ怖いけど天音と葵ちゃんの為だもんな!! よし心得たっ!! オレが2人の気を惹くからその隙に……」
「いいえ全然。(ふるふる)」
静音さんはすっげぇ素の表情で首を左右に振り、「まったく必要ではないですよ~」っと華麗に否定した。
「……はっ!? じゃあなんでそんなことを???」
オレのその質問は当然すぎる質問である。
「いや、人がゾンビに襲われたらどうなるのかなぁ~。な~んて好奇心が疼いちゃいまして。やはり人間好奇心には勝てませんよね~☆てへりっ」
「……そんな好奇心は捨ててしまいやがれっ!! アンタの好奇心を満たすためにオレを『生贄』にする気なのかよ!!」
「(元気よくハッキリと大きな声で)はい!」
もう一切の迷いがないのよねこの人。まぁだからこそ、いつもこちら『静音さん=クソメイド』って訳させていただいてるわけなのだが……。
「あっようやくお二人共いらっしゃいましたね。それではさっそく『復活の儀式』とやらの準備をいたしますね♪」
どうやらオレ達の漫談の最中にも、天音と葵ちゃんはしっかりと歩いてきてくれたようだ。
「あっ、よいしょっと」
ジャラリジャラリッ。静音さんはまたもや不穏な音を立てながら、再びモーニングスターへと手をかけたのだった。
「おいおいまたかよ。またなのかよ!?」
そんなオレの悲痛な叫びも空しく、『儀式』とやらは滞りなく行われようとしている。
「天音お嬢様……死にやがれ~です♪」
「あ~~~?」
天音がその声に反応して、静音さんの方へと顔を上げたその刹那、
ガラガラガラ……ガッシャーン!! 天音ゾンビは顔に鉄球をモロに受け、派手に壁へと激突した。
「……」
そして完全に沈黙してしまった。
『おめでとうございまーす♪ ド真ん中大当たりでクリティカルヒットで~す♪ ……天音ゾンビは死にました』
その瞬間、天音は光に包まれてまたもや『棺』になってしまう。
「結局このパターンなんっすか!?」
もはや描写手抜きとも思えるその繰り返し。……だが、それでイイ!!
「さあさあ、お次は葵お嬢様の番ですよ♪ そぉ~れっ♪」
「う~~~?」
ドゴッ! バビューン!! ジャラジャラジャラ~……ドガッ!! 静音さんは壁にめり込んだ鉄球を鎖ごと引っ張るとその勢いのまま、今度は葵ちゃんへとその鉄の塊をぶつけた。
狙いが外れたのか、お腹に当たり葵ちゃんは派手にぶっ飛んでしまう。
「……」
そして天音同様に葵ちゃんもそのまま沈黙してしまった。
『うーーーん。おしいっ!! もう少しでクリティカルでしたね! 今度はよぉ~く狙いましょうね♪ ……葵ゾンビは死にました』
「ふぅ~ようやく終わりましたね~」
静音さんは今まさに一仕事終えた! っと言った感じで、額に汗も出てないのにハンカチで拭く素振りをみせていた。
「いやいや、その表現おかしくないか?」っと思われるだろうが、額にハンカチぽんぽんしているモーションをしてるんだけど、まったく触れてないんだもん。
そうまさにそれは『フリ』なのだ。
……結局すべてが振り出しへと戻っただけだった。
「静音さん……2回も殺した意味あんの?」
オレのその疑問は当然のものだった。
「ええ、もちろんありますよ~。何せ半分生きたままでは復活させるどころか浄化してしまい、2度と生き返らせることが出来なくなりますので」
さも当然のように、そう言い放つ静音さん。
「そ、そっか……意味あったんだ……そっか」
オレはてっきり静音さんのストレス解消に殺してるモノとばかり思っていたのだったが、どうやら『モニスタ撲殺事件』にも意味は成していたようだ。
「さてと。……そろそろ復活させますか♪ アナタ様お手数ですが、棺をこちらの教壇の前に持ってきてもらえますかね?」
「あ、ああ……」
オレは言われるがまま、静音さんの指示に従う。
ズサーッ、ズサーッ。いつの間にか棺を引っ張るのが手馴れたものになっていた。ほんと言うと慣れたくないけどね。
「ふぅーっ。これでいいかな?」
オレは天音と葵ちゃんの棺を出来るだけ綺麗に並列に並べた。
「アナタ様、ありがとうございます」
静音さんはお礼を言うと、2つの棺の前に立ち何やら呪文を唱え始める。
そして床には魔方陣が浮かび上がり、眩いばかりの光を放っていた。
「す、すっげぇ……」
オレはそんなありきたりな言葉しか出なかった。
それもそのはず、まさかあの静音さんが真面目に魔法を詠唱して、自分の役割である『僧侶』をしてくれるとは夢にも思わなかったからだ。
すると魔方陣の上にたぶん魔力なのだろう、光の玉が浮かび上がっているのが見えた始めた。
「……ソナタの力を用い、コノ穢れた体を浄化せよ。女神の祝福!」
そう静音さんが叫ぶと、魔方陣から勢いよく光の矢が飛び出した!!
その光の矢はそのまま一目散に天音と葵ちゃんの棺に向かい、棺にぶつかるとそのまま弾け飛んでしまう。
「こ、これで……天音と葵ちゃんは生き返ったのかな……静音さん?」
オレは目にしたモノが信じられず、僧侶静音さんに聞いてみた。
「ふぅ~。ええ、今度はちゃんと真面目に詠唱しましたので、お二人とも生き返りますよ♪」
「そ、そっかぁ~~っ。はぁ~良かったぁ~♪」
オレは安堵から床に尻餅をついてしまう。
「もう何ですかアナタ様は、だらしないですよ」
大仕事を終えた静音さんは、笑顔でオレの事を茶化した。
「いや、だってだって最初モーニングスターで二人を撲殺しまくるんだもん。そりゃ誰だって焦るに決まってるよぉ~(笑)」
オレも静音さんの笑顔に釣られ、笑顔で先程の事を冗談めかして言う。
「まぁぶっちゃけ、中二病のようにカッコイイ詠唱が思いつかなかったので、それを思いつくまでの前フリでしたしね^^」
「……ま、前フリだったの!? それで二人を撲殺しちゃったの???」
「ええ、もちろんですよ~(´ω`)」
「……」
オレはその事実にただ押し黙ることしかできなかった。
中二病から中三病になりつつ、お話は「第58話 仲間との久しぶりの再開……」へとつづく。
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