第153話ー番外編ー ジャスミンの簡単お料理教室~ナポリタン編~ その2
「さ~て、ピーマンの次はタマネギを切ろうか♪」
「妾タマネギは目に沁みるから、切るのが苦手じゃぞ」
「サタナキアさん。剣なのに目……あったの?」
「……言うでないに。心の目で見るのじゃ」
「心の目ならタマネギは目に沁みないと思うけどなぁ~」
っとジャスミンはややツッコミながらも、タマネギの上下を切り落とす茶色い外皮を剥いた。
「あっ、このとき外側の緑色の固い部分を外しても良いからね! もちろんそこも食べれるけど、少し固いから歯ざわりを気にする人は外した方がいいかもね!」
「ふむ。確かに外の緑の部分は少し切りにくいようじゃな。妾の本体である剣身が刃こぼれを起こさぬとよいのじゃがのぉ~」
「……いや、サタナキアさん。タマネギ切るだけで刃こぼれなんか起こしてたら、それだと包丁にも劣るよね?」
「……ジャスミンよ。あまり恐ろしい事ばかり言うでないに。何だか妾も不安になるではないか」
刃こぼれせぬよう二人は慎重にタマネギを切ることにした。
「まずは下の根元にある芯の部分を包丁を使って、クロスするように切れ目を入れてから取ろうね!」
「ここじゃな? 確かにここは固そうじゃしのぉ」
シャリ、シャリ。
「じゃあ次はタマネギを縦半分に切って、やや厚めにスライスしてもらうかな♪ このとき注意するのは、薄く切らないことだね! 薄く切ちゃうと炒めた時に甘味が出すぎちゃうから注意が必要なんだよ♪」
「やや厚めじゃな。心得たぞ!」
トン、トン、トン♪ まな板に刃が当たる音を奏で、ゆっくりとスライスをする。
「うん♪ そんな感じでいいね♪ じゃあ次はいよいよフライパンで具材を炒めようか♪ このときに火の通りにくいピーマンから入れるのがポイントかな。あとタマネギはあまり炒めすぎると甘味が出過ぎちゃうから気をつけてね!」
ジャスミンはそう言うと、フライパンに火をかけて温めると油を引き、ピーマン・ソーセージ・タマネギの順に炒めていく。
ジィィィィッ♪ ジャッジャッ♪ ジャスミンは具材がコゲぬよう、フライパンを振る。
「何だかこれだけでもイケそうじゃのぉ~」
「ダメだよサタナキアさん。これは料理教室なんだから、ちゃんと最後まで作らないと!」
「わかっておるわ! じゃないと作者のヤツめに何を言われるか分からんしのぉ!!っとやや拗ねながら調理を続ける。
「はい! 炒め終わりだね。とりあえずこれは後から合わせるから更に移しておこうか」
ジャスミンはそう言うと、具材を更に移しフライパンをコンロに戻す。
「ジャスミンよ。そろそろ茹で上がるのではないかえ?」
「っとと! う~ん……そうだね! やや固いけど、フライパンで炒めるからこれくらいがちょうどいいかもしれないね! そうだね時間は……大体8分ってところかな。でも普通はパッケージに書かれてる時間を参考すると良いと思うよ! その方が正確だし、メーカーによって茹で時間が違うからね♪」
ジャスミンは鍋から1本麺を取り、実際に食べて固さを確かめていた。
「ちなみにだけどね。乾燥パスタを使い際に、事前に水で浸して生の状態に戻しておくと、より早く茹であがるんだよ♪ 大体……3分くらいかな。時間に余裕があって、ナポリタンを食べるって分かるときにはそんな調理法もあるんだよ♪ ちょっとした工夫で調理時間とガス代の節約にもなりしね♪」
ジャスミンは得意げに説明をしていた。
「節約もよいのじゃがのぉ~、ジャスミンよ。今更聞いてよいのか分からんのじゃが……これはパスタなのかえ? それとも|スパゲッティなのかえ? どっちなのじゃ?」
「あ~。スパゲッティはパスタの一種なんだよ! 太さや形によって名前が違うんだよ。ちなみにマカロニなんかもパスタの一種なんだよ♪」
「ほぇ~。この作品に有るまじき、勉強にもなる話じゃのぉ~」
っと、登場人物の分際でサタナキアは作品にケチを付けやがっていた。
「あの……サタナキアさん。あんまり自分が出てる作品を批判しない方がいいと思うよ」
「そ、そうじゃのぉ。それでなくても妾は作者から干されつつある身分ようじゃしのぉ……」
「理解してるのに……」
ジャッジャッ! ジャスミンはそう思いながら、麺をザルにあけ湯切りをする。
「ふん! これで麺は完成だね♪ ここで気をつける事はザルにあける時に火傷しないようにね! あとここからは手早く作業をしないと麺同士がくっ付いちゃうから注意だよ! まずは……っと。湯切りした麺をフライパンに入れます」
ジャスミンは湯切りした麺をフライパンに直接入れてしまったのだ。
「ジャスミンよ! それでよいのかえ!?」
「大丈夫大丈夫♪ で、最初は麺に油を大さじ2ほど、上からとろ~りっと満遍なく垂らしま~す♪ それから箸でかき混ぜて、っと。こうすることで麺同士がくっ付くのを防げるんだよ。油にはオリーブオイルでも大丈夫だけど、匂いがキツイから使うなら注意が必要だからね! 今日はクセのない白締油を使ってるよ。家庭ならサラダ油でも大丈夫だよ♪」
ジャスミンはそう言いながら手早くかき混ぜ、麺の上から大量のケチャップをかけた。
「じゃ、ジャスミンよ!? ケチャップは今入れていいのかえ!? だ、大丈夫なのか? 妾何だか不安になってきたぞ……」
「大丈夫だから任せてよ♪ 大体量としては……100~200gくらいかなぁ~。メーカーによって濃度が違うから目安にしかならないけど。ちなみに今日のは1番安いのだから濃度が薄くて麺と同量の200g入れちゃいま~す♪ で、またよぉ~くかき混ぜて、っと!」
やや水っぽいケチャップを麺と絡めていく。白かった麺がじょじょに赤く染まり、全体に馴染んできていた。
「なんじゃか、やや水っぽいような気がするのぉ~。ほんとに大丈夫なのかえ、ジャスミンよ?」
「あ~、ははっ。まぁ500g99円の安いケチャップだからね!」
「……そのように安いのがあったのか!? ちなみにそれだとこのスパも……」
「あ、うん。500g99円の……ヤツ、だね」
二人ともその値段の安さにやや歯切れが悪くなっていた。
「ま、まぁ安い材料でも調理次第で美味しくなるからね! むしろ高価値になるんだよ♪」
「何だか騙されているようじゃが……まぁ、そうゆうことにしておくかのぉ~」
「で、これを火にかけます♪ このとき強火すぎると、麺がフライパン表面にくっ付いちゃうから注意が必要だよ。できればテフロン加工が施されてるのが理想かな」
「テフロン? 何なのじゃそれは?」
「ボクもなんだかよく分からないんだけど、表面にモノがくっ付かないようにしてある『魔法のフライパン』ってところかなぁ~」
「魔法じゃと!? 魔法なら妾も使えるのじゃぞ!! 何せこの妾はすべての魔法を統治する『魔神サタナキア』なのじゃからなぁ~♪」
サタナキアはまるで自慢するように、ずいっと前に出た。
「へぇ~そうなんだぁ~っ!? でもそれって……フライパンにも有効なの?」
「……それは無理なのじゃ。妾の全魔力を使ったとしても、麺は表面にくっ付いて洗うのが大変になるじゃろうのぉ~」
「なら、ダメじゃんか……」
ジャスミンはケチャップが絡んだ麺を炒めならが、ツッコミを入れるだけだった。
第154話へつづく