第152話ー番外編ー ジャスミンの簡単お料理教室~ナポリタン編~ その1
※この物語は番外編であり、本編とは一切関係がありません。また食材などは現実世界と同じになっており、また本編のお話とは矛盾が生じております(ジャスミンがケチャップを使うなど)。調理法や手順は作者独自のモノであり、科学的根拠などはありません。そこはご愛嬌ということでお願いします。
「やぁやぁいつもこの『あな嫁』を読んでるお兄さん、お姉さん達こんにちわっ!! ボクの名前は『ジャスミン・ライラック』だよ♪ 既に知ってる人がいるかもしれないけど、ボクは雑貨屋をやったり、酒場を運営したりしてるんだ♪ 今日は何だか『番外編』とか言うヤツで、このボクに料理をして欲しいって話なんだけど……合ってるよね?」
「ふむ。ジャスミンよ。ここは魔神であるこの妾に任せるがよいわ!」
ジャスミンと名乗る少女は少し不安気な様子だったが、横からそんな声が聞こえてきた。
「あっ、臨時でお手伝いをしてくれたサタナキアさんだぁ~! あれ? でも今日は給仕の仕事はまだ始まらないよ」
「もちろん今日も日銭を得るために仕事を全うするつもりじゃぞ! だがな『番外編』と言われては、この妾が出ないわけにはいかないのじゃ!! それにほれ! お主、食材の一つを置き忘れておったじゃろうに。だから妾がついにで持ってきてやったのじゃぞ!」
サタナキアはそう言うと、ジャスミンが忘れてきたというに今日の食材を渡した。
「あっ、ほんとだ! ボク肝心な物を忘れてたよ! ありがとうね、サタナキアさん♪」
ジャスミンはその食材を受け取りながら、サタナキアへと感謝の言葉を述べる。
「なに、よいのじゃ。妾もこうして出番が増えるに、気にするでないわ! それに料理教室には助手が必要じゃろ? 妾がお主の手助けをしてやろうぞ!」
サタナキアは感謝され照れているのか、言い訳をするように助手を申し出た。
「サタナキアさんが手伝ってくれれば、百人斬りだね♪」
「……お主にボケは務まらんようじゃな。まぁよいわ。……して、今日作る料理は何なのじゃ?」
「うん! 今日はみんな大好きお手軽『ナポリタン』を作ろうと思うんだ♪」
「おおっ! ナポリタンとな!! 妾の大好物の1つじゃぞ! 今から楽しみじゃのぉ~♪」
「じゃあ、まず最初に材料の確認をするよ! さっきサタナキアさんが届けてくれた『乾燥パスタ』と『トマトケチャップ』『ピーマン』『ソーセージ』『タマネギ』『油』が主な材料だね」
「ふむ。意外とシンプルなのじゃのぉ~。……して、分量はどれくらい作るのじゃ?」
「そうだね。今日は二人分だから、パスタ200gくらいかな」
「うん? 200gでは少し少ないように思えるのじゃが……それでよいのか?」
「他のレストランとかでも、パスタの場合大体一人前あたり100gほどなんだよ。それに今日は作り方が主なお話だから『標準』じゃないとダメだしね! アレンジはそれからで良いと思うんだ♪」
「確かにのぉ。普通のも作れんクセに、最初からアレンジするとロクな事にならんからのぉ~」
「それでまず始めに何をするのじゃ?」
「そうだね。まずは、少し大きめの鍋に水を入れて沸かします。もちろんお湯があればそのままで大丈夫だからね! そしてお湯が沸いたら、そこに塩を2摘みほど入れます」
ジャスミンはパラパラっと、煮えたぎる鍋の中に塩を入れる。
「うん? 何故塩を入れるのじゃ? 『味付け』なのかえ? それにしては少ないのぉ」
「うーん。『味付け』ってゆうよりも、塩を入れると麺が引き締まってコシが出て麺同士がくっ付くのを防ぐんだ! それと塩を入れる事で沸点が上げて早茹でにもなるし、浸透圧の関係でソースと絡めた時により美味しく食べる事ができるんだよ♪」
「なるほどのぉ~。ちゃんとした理由があるのじゃなぁ~」
サタナキアは感心するように、ジャスミンの話に耳を傾け納得していた。
「じゃあ、そろそろパスタを入れようか♪ にぎにぎっと……それ~♪」
ジャスミンはそう言うと、パスタを捻り広げるよう扇上に鍋の中へと入れた。
「それは何をしたのじゃ? 何やら広げるように入れたようじゃが?」
「うん。これもパスタがくっ付かないように、広げて入れたんだ。束のまま、まとめて鍋の中に入れるとそのまま固まってダマになっちゃうんだよ。それを防ぐために広げて入れるの」
ジャスミンはそう言いながら、長い菜箸を使いパスタをかき混ぜていた。
「じゃあ、麺を茹でてる間に材料を切っちゃおうか! ここからはサタナキアさんの出番だからね♪」
「おお! ついに妾の出番かえ? バッチコーイなのじゃ!」
ジャスミンはまな板にソーセージを4本ほど乗せた。
「まずはソーセージを食べ易い大きさの輪切りにしようね。厚さ1cmくらいかなぁ~。それでも厚いようなら少し薄めでも大丈夫だからね!」
「1cmくらいじゃな。心得たぞ!」
トントントン♪ さすがは何でも切ることができる聖剣フラガラッハである。「ソーセージの輪切りなぞ、造作も無いわ」と言った感じで、リズミカルに切られていく。
「うんうん。そんな感じだね。じゃあ次はっと……ピーマンを切ってもらおうかな♪」
「うげっ。ぴ、ピーマンかえ? それは苦いから妾は苦手なのじゃ……どうしても入れないとマズイかのぉ~、ジャスミンよ」
サタナキアはたじろぐようにまな板から離れようとするが、ジャスミンに持ち手部分を捕まれ逃げられない。
「サタナキアさん、魔神なのにピーマン苦手なんだね。じゃあ1つだけでいいかな。そもそもピーマンは彩りのためだしね!」
「妾は1つもいらんのじゃがなぁ~」
そんなサタナキアを無視するように、ジャスミンはピーマンをまな板の上に置いた。
「まずは上の帽子の方を少しだけ切って……っと。そして中の白い種を出そうね。まぁ種も食べれないことはないけど、美味しくもないしね。ここは手で掻き出しても良いし、スプーンなんかで取るのも良いかもね!」
「ぺっぺっ苦いのじゃ苦いのじゃ! じゃ、ジャスミンよ! 目を離した隙に鍋が溢れそうになっておるぞ!」
見ると鍋は煮えたぎり、泡状の湯が鍋から吹き零れる寸前だった。
「慌てない慌てない。ここで鍋に差し水を……」
ジャスミンはそう言うと、コップに入った水を沸き立つ鍋へと注いだ。
「おお! 水を入れただけで吹き零れそうだった湯が引いたぞ! 水を入れるのは、吹き零れを防ぐのが目的なのじゃな!」
「うん。それもあるけど、実はお湯の温度を急激に下げる事で、麺を早く茹で上げることができるんだ♪ 原因はよく分からないけど、この差し水は『びっくり水』とも呼ばれてるんだ♪」
「びっくり水とな! それはまさにびっくりじゃな!!」
「…………サタナキアさんもボケの才能ないよね」
「…………あまり言うでない。妾も気にしてしまうじゃろうが」
「じゃあ、気を取り直してピーマンの種を取ったところで、これもソーセージ同様に輪切りにしてもらうかな♪」
「ジャスミン……お主。絶対Sじゃろ? また妾に苦さを味合わせる気じゃな!」
サタナキアの抵抗空しく、サクサクサク……っと、ピーマンが輪切りにされる音だけが響くのだった。
次回もお料理教室の続きです♪ 第153話へつづく