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第147話 オレのお耳は着脱不可ですからね!!

 正直に言えば、天音達……特に静音さんの行動は無茶苦茶の域を遥かに超えている。

 例えるなら天音がアクセス全開ならば、静音さんはそれにプラスしてサイドブレーキ全開のオマケ付きで暴れまわってる……はっきり言っちまえば、次の展開の予測がまったくつかないのだ。


 だってさ、静音さんはヒロインで説明役のメイドさんなのに、オレ達が倒すべき魔王様なんだぜ! しかもこうゆう物語構成だったらさ、普通そうゆうネタバラシは最後の最後に持ってくるもんだろ? 違うか? なのに静音さんときたら……。

 いやいや、こんなこと考えるのはもう止めようぜ。どうせ嫌でもその場面はいずれ訪れるはずなのだから……。


「……そういや、さっき天音が風呂がどうたら~とか言ってたよな? ……よし! 気分転換がてらに風呂にでも入るとするか!!」


 オレは暗く静かな部屋の雰囲気と、今の自分の気持ちを吹き飛ばすようわざと明るく振る舞い、風呂に行こうと部屋を出た。


「……そういや、そもそも風呂場ってどこにあるんだ?」


 部屋を出てから、その肝心な風呂の場所について聞いていないことに気付いてしまったのだ。


「うーん。……こうゆう時は、ジズさんに聞いた方がいいのかなぁ?」


 一瞬隣の部屋にいる天音達を訪ねて場所を聞こうかと思ったが、どうせ「夜這いか!? 意外とキミも大胆なんだ♪」っと勘繰られるのがオチなので、安全圏の宿屋の主であるジズさんに聞くことにしたのだ。


 タン、タン、タン。木で出来た階段をゆっくりと一歩一歩慎重に降りて行く。

 廊下は薄暗く、オレの身長と同じくらいの高さの壁に小さなロウソクだかが設置してあるだけで、足元は暗く自分の足かどうかすら定かではないほどに暗かったのだ。

 階段の真ん中辺を足に体重をかけ踏むと、時折ギシリッっと嫌な音が足元から聞こえてきたが、幸い階段は壊れはしないようだ。


「……兄さん、どないしたんです?」

「うわぁぁぁっ!? だだだ、誰だよ!? ……って、ジズさんかよ!?」


 それは階段の真ん中付近を降りた時の事だった。

 一階の受付玄関中央から突如として、光る目が2つ浮かび上がり、いきなり声をかけられてしまいオレは心底驚き階段から滑り落ちそうになってしまった。

挿絵(By みてみん)

「あっ、驚かせてすんまへんでしたなぁ~」


 ジズさんはいきなり声をかけた事を謝った。


「……ジズさん。こんな暗闇なのにまだここ(・・)に居たの?」


 ジズさんは建物全体が薄暗いというのに、まだ昼間と同じ場所にその大きな体を収めていたのだ。


「暗かったでっかぁ~? ……ああ、ワテらドラゴンは夜目も利きますのんや。逆に昼間は少し眩しいくらいですわ~」

「あっそうなんだ! へぇ~夜目が利くと便利かと思いきや、そんな弊害もあるんだねぇ~」


 どうやらドラゴンは夜行性民族なのかもしれない。ならもきゅ子も夜には活発化するのかな?


「……あとワテな、自分の出番が終わるまでこの姿でここから出られまへんのや」

「……た、大変な役割なんだね」


「昼間みたく擬人化すればいいじゃん!」とかツッコミそうになったが、どうやらジズさんにはジズさんの事情があるみたいなので、突っ込むのはよそう。


「それでどないしましたんや? 部屋で何か不具合でもありましたん?」


 どうやらジズさんは、オレが一階まで降りて来た事に疑問を懐いたようだ。


「えっ? あ、ああ……部屋が暗くてさ。ロウソクはあるみたいなんだけどね……火が点いてなくてね」

「そないでしたか!? そりゃ兄さんには悪いことしましたなぁ~。すぐ灯り点けに行きますさかい!」


 ジズさんは部屋に灯りが点いてないと言うと、その大きな体を動かしその問題をすぐさま解決しようと動き出した。


 ギシッ!! ミッシ、ミッシ♪ジズさんにはこの建物はあまりにも小さすぎる。

 羽やら体を動かす度に、建物全体そこら中から嫌な音と軽やかな音が聞こえ、いつ倒壊してもおかしくない状況だった。


「い、いやいいよジズさん!! 静音さんあたりの部屋から灯りを分けてもらえばいいだけだしさ!!」


 さすがに灯り一つの為に宿屋が壊れるのは見過ごせない。オレは慌てて言葉を繕いながら、ジズさんの動きを止めることにした。


「そ、そうでっか? すんまへんでしたなぁ~、何から何まで兄さんに迷惑かけて」


 ジズさんは納得したのか、動くのを止め部屋の明かりが点いていない事を謝っていた。


「……いや、別にいいよ。……そういや、この宿屋には『風呂がある』って聞いたんだけどさ。……今使えるの?」


「ジズさん、その体でどうやって宿屋中のロウソク点けたんだよ!?」とは心の中でも思っても言わず、話を逸らすため風呂の場所を聞いてみた。

 暗いせいか体感的により肌寒く感じてしまい、お風呂の温かさに癒しを求める事にしたのだ。


「あっ風呂をご利用になりたいんでしたか? もちろん使えますわ~。ほら、そっちの奥にあるのが風呂場ですのんや。ちなみにウチのは露天風呂なんでっせ! 露・天・風・呂っ!!」


 ジズさんは露天風呂がお気に入りなのか、自慢気に露天風呂を強調していた。


「へぇ~露天風呂ってことは天然の温泉なんだね! それはゆっくり出来て体の疲れが癒せそうだね♪」


 別にオレは温泉好きではなかったが、身体的にも精神的にも心底疲れが出ていた。露天風呂でゆっくりと足を伸ばし疲れを取ろうと風呂場へ足を向けた。


「あっちょい待ちぃ~な、兄さん!」

「えっ?」


 いざ露天風呂へ向かおうとしたその時、何故かジズさんから呼び止められてしまった。

 オレは何事かっとジズさんの方に振り返った。


「兄さん、ちょいと耳貸してくださいな!」

「はっ? オレの耳を? なんで?」

「ええからええから、ほらほらもっとこっちに近づきなはれ!」

「ああ」


「ついにオレの耳を外す時が来たのか!!」……いやいや、オレの耳は着脱不可ですからね! まぁそんな文字どおりのボケは置いておいて、オレはジズさんの言うとおり歩み寄りその口元へ近づいてみた。

「も、もしかしてさ……このまま食べられたりしないよね?」っとオドオドしたが、どうやら取り越し苦労のようだ。


「実はでんな……ヒソヒソ」

「な~る、ふ~むふむ……」


 だがしかし、ジズさんとオレとは身長の差があまりにも大きいため、周りから見ればヒソヒソ話にすらなっていなかったが、今はそんな体裁は捨て置く事にしてジズさんの話とやらに耳を傾けることにしよう。


「えっ!? そ、それは本当なのかジズさん! ……いいや、ジズ先生っ!!」


 ジズさんの話を聞いたオレは内容からジズさんに『先生』っと付けてしまうほど尊敬したいたのだ。それは何故かって?


「それはほんとのほんとに話なんだよね! ね! 新手の詐欺とか嘘なんじゃないのよね!?」

「当たり前でんがな兄さん! ここのお風呂は混浴(・・)なんやで! しかも……しかもやで、ちょうど今は女の子達が入ってますのんや!」


 そうなのである。この宿屋の風呂は露天風呂で、しかも男女が入る乱れる『混浴』だったのだ。

 もうそれは修学旅行の定番中の定番『覗き』とかそんなちゃっち(・・・・)なレベルなどではなかった!! 


 むしろ合法的に『混浴で欲情ができる浴場』なのである! 

 しかもしかもジズさんの話によれば、今ちょうど女の子が入ってるそうな。……そりゃ~間違っても入るしかないよね♪


(おとこ)には引けない時がある。今のオレにはまさにその時なのだ!!」そんな事を心に、そして大志に懐きつつ、オレは混浴が出来るという目指すことにした。



 次話の次話は読者待望のサービス回なのですよ~♪ っと宣伝しつつ第148話へつづく

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