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第137話 ヒロインが寝ていれば、夜討ちは基本事項です!!

挿絵(By みてみん)

 コンコン♪


「天音お嬢様ぁ~、葵お嬢様ぁ~、静音です。……少しよろしいでしょうか?」


 静音さんは天音達がいると言う部屋のドアをノックすると、中にいる天音と葵ちゃんにお伺いをたてる。


「(天音と葵ちゃんは一緒の部屋なのか? なら……静音さんはもきゅ子と一緒の部屋になるんだな)」


 そんな事を考えていると、「なら、静音さんは何でもきゅ子を連れて来なかったんだ?」っとも疑問がわいてきた。


 コンコン♪


「天音お嬢様ぁ~、葵お嬢様ぁ~? いらっしゃらないのですかぁ~?」


 だが、いくら声をかけても中から返事は返った来なかった。


「……もしかするとお嬢様方は既にお休みなのかもしれませんね。アナタ様、どうしますか?」


 静音さんはいくらドアをノックしても返事のない天音達に困り果て、オレへと判断を仰いできた。


「あ~、そうだね……」

『どうする? 部屋に入ってみるか?』


『静音さんだけ部屋に入ってもらう』それはちょっと……

『声をかけ続ける』シカト祭り開催中♪

『とりあえず、ドアをぶち破って二人の寝込みを襲う』夜討ちは基本ですよね♪


「…………」


 オレはいつもながらの選択肢とその補足説明に嫌気が指して、何も喋らず無視(シカト)することにした。


「……アナタ様がお選びにならぬようなら、このワタシが選びますね! それでは3番目の……」

「おいおいおい!!! 何で静音さんが勝手にオレの選択肢を選ぶんだよ!? しかも何気に犯罪者エンドに(まつ)り上げ様としてるでしょがっ!!」


「…………ちっ」


 オレがツッコミを入れると、まるで肯定するかのような舌打ちをされてしまう。


「(ほんと危なすぎんだろっ。オレの選択肢だって言うのに、静音さん何かに勝手に決められたら、ぜってぇロクなことにならねぇもん。……まぁ最初からロクな選択肢ないんだけどさ)」


『認証しました。それでは3番目の選択肢を即時実行に移させていただ……』

「……って選択肢! てめえもてめえで、何勝手に物語進めようとしてんだよ!! 何で静音さんの言うこと聞きやがるんだよ!! オレに決定権はないのか!?」


 選択肢さんにまで馬鹿にされる、この物語の主人公のオレ。


『……冗談ですよ。政治家の選挙公約程度の冗談ですので……そんなマジにとらないで下さいませ♪』

「いや、それはどう突っ込んでいいのか、冗談抜きに返答に困るからさ」


 ここで下手に反論すると「闇の力にによって、別の主人公と交代させられてしまう!?」それを危惧し、言葉を濁すことにした。


 ガチャリ、キーッ。


「何だ騒々しいなぁ~。一体誰なのだぁ~? 部屋の前で騒いでいるのわぁ~。ふわぁ~っ」


 閉ざされたドアがいきなり開くと赤い髪をなびかせた女の子、そう我らがメインヒロインの天音が欠伸をしながら出てきた。

 また彼女は既に寝ていたのか、眠い目を擦りながらもオレ達へと文句を言うのを欠かさない。


「天音寝てたのか!? 静音さんが何度も声かけたんだぞ!!」


 一瞬居留守なのか? とも勘繰ったのだが、天音の性格からそんなことはしないだろうから、ガチで寝ていたに違いない。


「(天音その格好で寝てたのかよ? 体痛くねぇのか?)」


 見ると天音は寝巻き(パジャマ)……ではなく、先程と同じ格好つまり鎧を着ていたのだ。

 この短時間で着替えられるわけがないし、きっとその格好のままベットで寝ていたのだろう。


「ふぁわぁ~、なんですの~? 誰ですのぉ~?」


 そう天音の背後から葵ちゃんの声が聞こえ、どうやら葵ちゃんもこの騒ぎで起きたようだ。

 葵ちゃんは寝ぼけているのか、普段よりも口調がおっとり天然染みていた。


「う~~~ん、っと!! ……それで何の用なのだ? もしかして夜這いの誘いだったのか? それなら疲れたから明日に……」


 天音は目覚めるように背伸びをすると、オレが夜這いに来たと勘違いして誘いを断ろうとしていた。


「いや、ちげえぇしな! 静音さんから『下でメシでも食べつつ情報を探りましょう』って誘われてな、それでお前達にも声をかけたわけなんだよ」

「(明日って……明日なら夜這いOKなんっすかね? ……マジで?)」


 心の中でほくそ笑みながらも、オレは夜這いの(くだり)をスルーするように、本来の目的である夜ご飯と酒場での情報収集を伝える。


「ご飯ですのぉ~? お肉ぅ~? お肉は出ますわよねぇ~?」


 葵ちゃんは半分寝ながらも、お肉を所望していらっしゃる。


「(葵ちゃんほんと、食いしん坊キャラが板についてきやがったよなぁ……)」

「お肉が出るか分かりませんが、お二人共とりあえず酒場で食事にしませんか? あっ、もきゅ子も連れて行きましょうね」


 静音さんは二人に食事をするよう促し、もきゅ子の存在に今気付いたようだ。


「…………」

(最近マジでもきゅ子の扱いが酷くねぇか? 最初はカワイイって持て(はや)されてたのに、今やオレと同じポジションで酷い扱いされまくりだぞ)


 そんなもきゅ子を心配しながらも、オレ達は向かいの部屋にいるもきゅ子を連れ立つと、食事をするため下にある酒場へと向かうのだった。



 第138話へとつづく

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