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第127話 要は諭吉《金》が欲しいの?

 前回までのあらすじ!!

 ジャスミンの依頼で、井戸から溢れる謎の光と声を調べて欲しいと頼まれ調査したのだったが……。

 そこには魔物! ……ではなく、みなさんお馴染みのATMの機械が井戸の奥底に設置されていたのだった……


挿絵(By みてみん)

 ピカピカ、ピカピカ。


「いらっしゃいませ。ありがとうございました」


「……静音さん、何であんなモノが井戸の中に設置されてんのさ?」


 オレはこの世界の管理人とやらのクソメイドに、その理由を聞いてみることにした。


「ああ……あれはアナタ様が望まれたから、作者の方が現実世界から召喚してくれたみたいですよ」


 然も当然のように静音さんはそう言い放った。


「はぁっ!? オレが望んだこと(・・・・・・・・)? あのATMを??? 何のことだよ? いや、そもそもそんなこといつ望んだって言うのさ!!)」


 オレには静音さんが言ってることがよく理解できなかった。そんなことオレには本当に記憶に無かったのだから……。


 オレはそんな風に不思議そうな顔をして考えていると、


「アナタ様、覚えてらっしゃらないのですか? 何ならログって確認してみますか?」

「ああ、そうだな!!」


 そう言うと静音さんは空中にメニューバーの様なモノを出現させ、手に持っているモーニングスター(モニスタ)でタッチペンのように操作し始めた。


「(あの武器はそんな使い方もできるのかよ……。確か棺の時には操作するハンドルにもならなかったか?)」


 そんなモニスタの万能性に驚きを示していると、オレの目の前にログが表示される。


「ほらぁ~、アナタ様コレをちゃんと見てくださいよぉ~。ここっ、ここの部分ですよ! これはえ~っと、第36話のログなのですからね。しっかりっとアナタ様が仰ってるでしょ?」

「ほんと……だね」


 オレにはそんな記憶はなかったが、表示されているログにはしっかりとオレが静音さんに言っていたのだ。

 そして静音さんは「ほれ見たことか! ワタシの言ってることに間違いなんてないんですよっ!!」っと言わんばかりのドヤ顔で、オレの頬をモニスタの柄の部分でグリグリ、グリグリっと、円を描き削り取るように押し付けてきた。


「(このクソメイド、ほんと性格悪いよなっ!! 何気に証拠()が残らないよう、適度な力加減で柄の部分押し付けてきやがるし……)」


 そんな頬を付いている柄をどうにか引き剥がす。


「……で、どうすんのさ、あの井戸の中にあるATMを。どうすりゃジャスミンからの依頼をこなした事になるのさ?」


 どうすればこのクエストを終了させることができるのかを、(しゃく)ではあったがクソメイドに聞いてみた。


「うーん。それは難しいですねぇ~。まぁ『調査を終えた』とジャスミンに報告すれば良いのではないでしょうか? 別に井戸の中にATMがあったからといって、害を成す訳でもありませんしね」

「そんなんでいいのかよ……」


 その静音さんのアドバイスとやらを聞いて、そんなことを思いながらも「それでいいなら……」っと、オレはジャスミンの元へ戻ろうとする。


「あっ、アナタ様お待ちくださいませ。どうせだったら、井戸に入りATMをご利用になってはいかがでしょうか?」

「はぁっ!? オレが井戸の中に入るの? 利用って……なんでさ???」


 いきなり「井戸の中に入れ!」っと言われてしまい、オレは困惑してしまう。


「いえね、私達はアリッサからお金を借りてますよね? ならばそのお金は返済しないといけないわけなのです」

「あ、ああ……確かにそうだね。じゃないと魔王を倒せる唯一の聖剣フラガラッハ(サタナキアさん)が戻って来ない訳だしね」


「はい、アナタ様の仰るとおりです。ですが、このままではたぶんワタシ達は借りたお金は返済できないと思うのです。さぁっ!! そこでタイミング良く登場したATMの出番なのです!!」

「…………」


 オレは首を傾げつつも、静音さんが何を(・・)言いたいのかが少しずつ分かってきていた。


「この国、この世界の共通通貨は『シルバー』ですよね? 本来ならば日本円では通用しませんが、このワタシを間として通すことで日本円を……ななな、なんとこの世界の通貨単位である『シルバー』へと両替をして差し上げる。そんな事を今思いついてしまったのです!! ドヤ」

「…………」

(静音さん、すっげぇドヤ顔決められてるな。要は井戸の中に入ってATMで金を下ろして、日本円()を自分に寄越せってことなんだろ?)


 オレは静音さんのあざといまでの守銭奴ぶりに、とても渋い顔をしながらも質問をしてみた。


「静音さん。単に要は(諭吉)が欲しいの?」

「はい♪ ……あっ、いえいえ違いますよ!! アナタ様がお困りのようなので、ワタシはただ……」


 満面の笑みで返事をし、さすがにあざといと自分でも自覚したのか、慌てて「アナタ様の為だから……」を強調して良い人ぶろうとしていた。



 第128話へつづく

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