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第113話 魔王様はだ・あ・れ・?

 前回までのあらすじ!!

 アリッサから宿屋に併設されている酒場『ギルド』を紹介された。ギルドでは依頼を受けて報酬を得たり、仲間を集める事ができるらしいとのこと。今のオレ達にはまさにピッタリの場所ともいえるだろう……



「よしみんな移動するぞっ!!」


 そんな勇者天音の言葉でオレ達は武器屋ことのんびり亭を後にして、ギルドがある宿屋へと向かうのだった。


「(ま……っと言っても反対側だから、すぐなんだけどね)」


 オレはあえて口を挟まず、そのまま天音達の後をくっ付いて行く事にした。またあの人と話があるとの思惑もあったわけなのだが。


 そしてオレはいつもとは違い、一番後ろを歩いている気になるあの人へと声をかけた。


「静音さんどうしたの? さっきから暗い顔してさ」

「…………」


 静音さんはその問いには答えなかった。いや、彼女の耳にオレの声が届いていないのかもしれない。「シカトされてんのかな?」っと思いつつも、お構いなしに話を続けた。


「静音さんさっきから変だよね? どこからぁ~ってのは確証ないけどさ、……アリッサが『魔王を討伐して欲しい!』って言ったときから変じゃない?」


 オレがその話を切り出すと、静音さんはピクリッっと眉を動かし、そのまま何も言わず歩みを止めてしまった。


 どうやらオレの声は届いていたらしい。立ち止まったのがその証拠だろう。そこでオレは、静音さんに対して聞きたいことの『本題』に入ることした。


「静音さん。こんなこと言いにくいし、聞きづらいんだけどさ。もしかして……『魔王』にさ、心当たり……あるんじゃないの? 静音さんも一応この世界の管理人らしいし、知ってても何ら不思議じゃないもん! だからアリッサから魔王討伐を依頼されたときに、変な態度をと……」


 オレの言葉(セリフ)の途中にも関わらず、静音さんがガバッっといきなり顔を上げ、一直線にオレを見ていた。


「(ご、ゴクリッ)」


 静音さんに見られ、そのプレッシャーからツバを飲み込むのがやっとだった。まるでドラゴンを前にした無力な人間のように、後は食べられるだけ……そんな感覚に陥ってしまい言葉を発することができない。


「アナタ様……(ボソボソ)ちゃいましたか?」


 感情なき静音さんの声が聞こえてくる。


「へっ? ごめん、よく聞き取れなかったんだけど。もう一回言ってくれるかな静音さん?」


 顔を上げているはずなのに、静音さんの声はとても小さく、肝心な部分がよく聞き取れなかった。しかも静音さんは瞬き一つせずにオレを見つめているせいで、得も言えぬプレッシャーから静音さんから顔を逸らすこともできない。


 そして静音さんは……もう一度言葉を口にした。今度はオレにちゃんと聞き取れるよう、ゆっくりと。


「アナタ様……気付いちゃいましたか(・・・・・・・・・・)?」

「えっ?……き、気付いたって……何に?」


 オレは道の真ん中だというのすら忘れ、ここがどこだったかすらも覚えていない。それはまるでオレ達二人だけが、この世界から取り残されたような感じに思えてしまう。


 そんな静かな空間の主のように、オレの問いには応えず静音さんが言葉を続けた。


「実はワタシ……魔王を知っている(・・・・・・・・)んですよ」


 ただポツリ、ただポツリとそう静音さんが言葉を口にした。


「……そ、そうなんだ。それは……オレを知ってる人なのかな? ……いや、オレ()知ってる人なんだよね?」


 オレは静音さんのその態度、そして物言いから「そうなのだ」という確信を既に持っていた。


「ええ……そうですね。アナタ様がよく知ってらっしゃいますね」


 ようやく静音さんと会話することができた(・・・・・・・・・・)。オレは既にその魔王に心当たりが付いていた。いや、オレが思っている人でほぼ100%だろう。

だが、「直接(・・)その人から名前を聞かなければ……」そう思い、こう口にした。


「その人ってさ…………オレ達の仲間(パーティー)の中にいるよね?」

「…………」


 オレの問いには答えず、静音さんは無言のままオレを見つめているだけだった。

 だが、オレは言葉を続ける。


「その人ってさ……オレの目の前にいて(・・・・・・・・・)……今こうして……会話してる?」

「…………」


 静音さんはまだ無言のままオレを見つめている。


「その人ってさ…………静音さん(・・・・)……なんだよ……ね?」

「…………」


 これでもまだ静音さんは無言のままだった。


「静音さんがさ、この世界の魔王様……なんだよね?」

静音さんは無言のま……


「きゃははははははははははははははははははははっ」


 静音さんが壊れたように狂い笑い出して、下を向いた。そして、すぐ顔を上げた瞬間……ソイツはそこにいた。


挿絵(By みてみん)

「!?!?!?!?」


 そこにいたのは、静音さんとは似て非なるモノだった。着ている服、髪の色、目の色、背中には羽のようなモノ……そして何より、ソイツの周りから吹き出ている闇のようなオーラ。


 それはオレが思っていた(・・・・・・・・)…………魔王そのものの姿(・・・・・・・・)だった。



『あなたの目の前にこの世界の『魔王』があらわれました。コマンドを入力してください』



 第114話へつづく

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