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第101話 喧嘩した後は、両成敗!!

 静音さんに何か思うことがあるのか聞こうとしたが、タイミング悪くジャスミンに声をかけられてしまい、その機会を失ってしまった。

 そして、動力源の交換を終えた聖剣フラガラッハへと目を向けることにした。


挿絵(By みてみん)

「動力源の交換終わったって?」


 オレは確認する意味でもジャスミンに聞いてみた。


「もちろんだよ♪ まぁ交換なんて言うと大げさに聞こえちゃうかもしれないけど、実はただ動力源を入れ替えて、ブレイド部分やグリップのところを布で綺麗に磨いたくらいだけどね」


「えへへっ」とちょっと自慢気にして、鼻の下を右人差し指で擦りながら「実際、大したことはしてないよぉ~」と謙遜していた。

挿絵(By みてみん)

「そんなことはねぇさ。……さっきは悪かったなジャスミン」

「うにゃ? 何のこと???」


 いきなりオレが謝るとジャスミンは不思議そうな顔をしていた。


「あっいや、ほら。ジャスミンもアリッサもこの剣の動力源がどこにあるか分からなかった時の事だよ。オレさ、……オマエらに対して失礼なこと言っちまっただろ?」


 オレは少しバツが悪くなり、自分がした行いを恥るように、ガバリっと勢い良く頭を下げた。


「わわっお兄さん!? そんな頭なんか下げられたら、ボクの立場がなくなるよ!?」


 っとジャスミンは慌ててオレに頭を上げるように言ってくれた。


「そうさね。大体そんな事を言い始めたら、あたいだってアンタらに何度も刃を向けちまってるよ! それにアンタらはこの世界の住人じゃないんだろ? なら知らなくても仕方ないさね」


「イチイチ謝んじゃないよ! こっちもやりづらいってたらありゃしないよ……ったく」っとアリッサも少し照れているのか、そっぽを向いてしまう。


「オマエら……」

(コイツらほんと、良いやつだよな? 困ってるオレ達を助……)

「それならば、間をとって(・・・・・)……ワタシ(・・・)に『謝る』というのはどうでしょう? それならお互い両成敗(・・・)となるのではないでしょうか?」

「(……けて、ってオレの心の中のセリフ途中で、またクソメイドがトチ狂ったこと言い始めやがったぞっ!! 大体なんだよ、『(あいだ)』って? 両成敗(・・・)の意味ほんと分かってて言ってんのかコイツ?)」


 オレはクソメイドのワケの分からん言葉に対して、心底混乱してしまう。


挿絵(By みてみん)

「もちろん分かっておりますよアナタ様。『両方を成敗する!!』まさに今のワタシにピッタリの役割だとは思いませんか?」


 ブンブン。静音さんは剣でも振りかざし、オレ達両者を切り捨てるような真似をしていた。


「(はい、まったく思いませんね。大体勝手にオレの心の声を読解(リーディング)している時点で、賛同を得られると思うなよクソメイドがっ!!)」


 オレはジャスミンとアリッサに、今の静音さんの言動を無視するように声をかけた。


「ジャスミンとアリッサ、今の静音さんワケ分かんねぇこと言ってるからさ、別に無視しても……」

「それもそうだよね! 僧侶のお姉さん……ごめんなさい(ぺこりっ)」

「え゛ぇ゛ーっ!?」


 あろうことかジャスミンは、静音さんが言うがまま頭を下げて謝ってしまった。

 そのジャスミンの予想外の行動に対してオレは口をΣ(シグマ大)にして心底驚いてしまう。


「いやいやいや、何ジャスミン謝ってんだよ!? オマエは静音さんに対して何も悪いことしてねぇだろうがっ!? なのに謝る(・・)とかさ……その行為自体が誤り(・・)だわ!!」


 そうツッコミをしたのだが肝心のジャスミンはというと……、


「まぁね。お兄さんの言うとおりなんだけどね。でもね、ボクだってこんなお店やってるのに、この剣の動力源がどこにあるか分からなかったのも事実だもん。そうゆう意味も含めて謝るべきだと思ったから、僧侶のお姉さんに謝ったんだよ。それにボクはこうゆう事に正解(・・)とか間違い(・・・)とか無いと思うんだ。だから頭を下げて……謝るだけで、事態が解決するならボクはすべきだと思うしね♪」


「それに頭下げるだけなら、お金かからないしね(笑)」と右目でウインクし、少し(おど)けてみせた。

 ジャスミンはオレが思ってる以上に大人なのかもしれない。

 世の中の物事をちゃんと理解し、何が『得』で何が『損』かを見た目子供ながらに判断しているのだろう。


「んっジャスミンが謝るってんなら……あたいしなきゃもだね。僧侶の、え~っと……」

「……静音です」


 アリッサが静音さんの名前が分からずに、何て呼べばいいのか迷っていると、静音さんが自分の名前を口にし、教えてくれた。


「そうかいそうかい。アンタの名前は『静音』って言うのかい? なら静音……あたいが悪かった! このとおりだ」


 先程のジャスミン同様、アリッサまでも静音さんに頭を下げて謝ったのだ。


「……まぁいいでしょう。今回だけですからね! 次はこの程度で許してもらえると思わないで下さいね!!」


「あ、ああ……わかったよ」と静音さんの物言いに対して戸惑ってしまうアリッサ。


「(おいおい何なんだよこれは? 何でジャスミンもアリッサも静音さんに謝っちまうんだよ!?)」


 たぶんこの中で一番、戸惑い動揺しているのはオレだけだろう。

 悪くもないのに次々と謝る姿を見せられては、それも致し方ない。


「……ほらほらアナタ様ぁ~。今度はアナタ様の番ですよ。ジャスミンもアリッサも謝ったのですから、アナタ様も同じように謝らないと」

「ぶっ!? マジかよ!? ほんと何でだよ……なんでこうなった???」


 オレは意味もわからずに、静音さんから謝罪を要求されていた。


「どうされたのですか? ほら早くワタシの前で土下座して『静音様ぁ~!! どうかどうかお許し下さいませ!! そしてこの(いや)しい豚にどうかお慈悲を!!』っと謝り狂いながら、靴をペロペロ舐めて下さいよ(笑)」

「(こんのぉ~クソメイドがぁ~~、調子に乗りやがってからに!! ジャスミンやアリッサに謝るならまだしも、何でクソメイドに謝んなきゃいけねぇんだよっ!!)」



 靴をペロペロ舐め綺麗にしつつ、お話は第102話へとつづく

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