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8   仮面の男

 別に俺は、相手の困惑とか恐怖を楽しむSでもなければ、相手からの睨む視線や圧倒されそうな敵意と殺意に悦ぶMでもない。

 4年くらい前に流行ったアニメじゃ人類はみなSかMだと言っていたが、俺はそれを単なる自分のザ・ワールドだと思っている。

 だから、この行動にさして意味はないのだ。勘違いはしないで欲しい。


「この仮面は本当によく馴染む……さいっこうにハイってヤツだアアアアハハハハハ!!」


 キリア達は一歩引き下がる。緊張の汗を垂らし、困惑の目で互いを見あっている。

 いや、前言撤回。人が困っているサマは俺にとって幸福のようだ。


 そういえば、と思い出す。

 中学校のころ、颯大が人を口喧嘩で泣かせたとき、「ああ、泣いちゃった」と憂いていたことがある。俺は颯大でも人に対する罪悪感ってものがあるのかと感心したのだ。だが、後で潤が言った台詞は、俺を絶望させるには十分なものだった。「あいつ、人が泣く直前とか、泣くのを必死に我慢しようとしてる表情が大好きなんだよ」本気で友達やめようかと思った。

 だから、俺はSじゃない。Sとはああいう奴なのだと思えば、少しは冷静になれた。


「ふふっ、怯えることはないさ……私が君達に危害を加えることはない。安心したまえよ」


 それでも相変わらずキリアは動かないので、楽しみを放ってカズさんに助けて貰うことにした。


「ごめんカズさん、反省はしてるから」

「あ、いや、別にお前の趣味はとやかく言わないけど。それは敵意が気持ちいいの? 困惑が面白いの?」

「た、ただの遊びなんですぅぅ」


「お前ら、これ今日から仲間に加わるワタルくんです。仲良くしてあげてね?」


 小学生のクラブ活動に加わるくらいの説明。

 こんなんでたったさっきまで脅してた人間が許されるのか、とも思ったが、俺のこれからの仲間は常識に囚われない不思議な奴らのようだ。


「おお、よろしくなワタル。俺ぁタンクのキリアだ。一緒に風呂入ろうぜ。裸の付き合いってヤツだ」


 全員が友好的になり、最初に自己紹介をしたのはホモのキリア。

 ムッキムキの身体で、背中の盾は小さい俺ならすっぽり隠れられそうだ。オレンジの髪をたなびかせる姿は少年の無邪気さが感じられるが、ホモです(切実)。


「へえ、ワタルくんか。ごめんね、狂人組合だから。あ、俺マトル」


 マトルと名乗る少年は軽装で、腰に5,6本のナイフを携えている。見た感じ唯一のスピード形かな?


「ミテリー。よろしく」


 ミテリーは5人でキリアの次に重装備で、背中に背丈と同じくらいの大きな弓を背負っている。ロングレンジか。


「僕はレータ。近接だけど一応魔法も使えるよ」


 レータは巨大ハンマーを背負っていた。

 このパーティーは基本重装備中心だな。偏ってるようで意外と整った構成に見える。


「一応もう一回。俺はカズマだ。みんなそうだから、カズって呼んでくれ」


 その名前にいつかの親友を思い出したが、どこにでもいる名前だと思い直した。


 なんにせよ、このパーティーに数日はお世話になるのだ。

 掘られないように仲良くしよう……


こんな副題、序盤で使って良かったんだろうか……

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