7 魅了の対処
「問題はあいつらだよなぁ……」
俺は記憶が曖昧になっているということになり、カズさんがあれからいろいろと教えてくれた。
ダンジョンは20階で1層になっていて、各層20階には巨大なボス、5,17階には中ボス、6,18階には安全地帯となっているそうだ。
で、まあ俺が付いて行くことになったのはいいが、【魅了(同性)】があるので他の皆さんと関われるのか、ということだ。
「そうですね……あ、そもそもなんでカズさんには効かないんですか?」
率直な疑問を問いかける。
神の天恵なのだから、魅了無効が無効であってもいいと思うのだ。
「あー、それが俺もよくわかんねえんだよな。みんななんで魅了かかってんだろって感じ。レータなんて魅了無効持ってんのんに」
あ、魅了無効は無効みたい。
そして悩むこと1分ほど、噂をすればと言うほど早くもないが奴らがやってきた。
「とりあえずそこに隠れておけ。後で呼ぶから」
そう少ない声量で言われ、俺はベットの下に隠れる。
「カズ~! なんか仮面GETしたぞ~」
「仮面?」
キリアとかいう完全体のホモが掲げたのは、アニメの黒幕とかでよく見るピエロ風の仮面だった。
そこで俺は、とある案を思い付く。
「カズさん、仮面で顔を隠せばなんとかなるんじゃないですか?」
小声で囁けば、カズさんは思い出したように声を上げた。
「あ、そういえば肌全部隠せば魅了消えるんだった!」
「ん? カズ、狂ったか?」
「バカお前、カズは最初っから頭おかしい狂人だよ」
「常識だぞ? しっかりしろミテリー」
「ああ、そうだった」
ああ、ひやひやした~……
キリア達はガハハと笑っており、カズさんはなんとも言えない表情で「お前らなぁ……」と頭を抱えている。
まあ、急に大声出しちゃそうなるわな
ひとしきり笑い終わったところで、カズさんは奥の方へ消えていき、数分後に両手に手袋などいろいろな衣類を持ってきた。
キリアから仮面を奪い取り、全部を俺のいるベットの下に押し込んだ。
「ど、どうした? いや、悪かったからさ……別にガイジになれって言ってるわけじゃ……」
「ガイジになろうとしてるんじゃないが」
「カズ、落ち着け。な、干し肉やるから」
「硬いからいらない。それお前が買ったんだから自分で処理しろよ」
「大丈夫だ。怖かったんだな……」
「別に怖いことなんてなかったぞ?」
「何かあったのか? よおし俺と一緒に風呂入って語ろうじゃねえか。痛くしねえから安心しな」
「てめえに限っては意味わかんねぇ」
そんなバカみたいなやりとりをしているうちに、俺は用意された物を全てつけ終わっていた。フード付きのコートにネックウォーマー、顔は仮面で隠し、手には執事のような白い手袋、足は丁度長ズボンだったので何もつけていない。
「カズさん、つけ終わりましたよ」
俺が声を出しながら出ていくと、男4人は武器に手をかけて警戒体制を取っていた。
そりゃあ気色悪い仮面つけた奴が自分らのテントから出てきたのだ。ビビるわな。
(そんなに甘くは)ないです。