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11 はじめてのぼうけん
レータさんが意識を戻し、皆の準備が整ったところから俺の最初の冒険が始まった。
ダンジョンと言ってもさほどモンスターは多くなく、俺の仕事は採取品をバッグパックに詰め込む作業と化していた。
そして昼食も済ませて数時間、待ちに待った最初の戦闘……が、
「お前ら、ワタルを囲め」
「今日初だな。しかもかなり多い」
カズさんの一言で俺を囲むようにみんなは陣をとる。
守るためかお互い背を向けているところ、魔物の到来という訳だろう。
「来る! カズ!」
「おうよ!」
カズさんは腰の刀を抜き、どこからともなく降ってきた《・ ・ ・ ・ ・》何かを切り落とした。
「さくらんぼ………?」
「ああ、こいつは小悪魔さくらんぼ《バッドチェリー》。1つ1つの能力は低いが大抵が群生していて、一時でも気を抜けば数十の大群に襲われる。2層の難関だ」
ああ、いや、とりあえず海都に謝って置こう……
「大丈夫なんですか? 見たとこ20は居ますけど」
「まあ見てな。このくらいならサポートは不要だぜ」
そう言ったミテリーさんは、冷徹に矢を放った。