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結局クリスマスパーティは十二月二十五日に雪音を招いて三人で行われた。
「さぁ! 私たちでキリストの降誕を盛大に祝ってあげましょう!」
ミニスカサンタなコスプレをして、さらに、何かが大量に入っているであろう白い布袋を担いだ美樹が満面の笑みで叫ぶ。
「イェーイ!! 盛り上がっちゃおう!!」
それに応えるように肩が思いっきりでているセクシーサンタコスをした雪音が飲み物を片手に騒ぐ。ちなみに、飲み物はオレンジジュースだ。
「……」
当然のように俺はそんな二人にはついていけず、呆然とするしかなかった。
「ちょっと、晃仁! ノリ悪い!」
「そうだよ、アッキー。キリスト君だって皆が賑やかに祝ってくれたほうが嬉しいに決まってるんだから!」
そんな俺を見て二人は口々にそんなことを言ってきた。それより「キリスト君」ってなんだよ。過去の偉人を「君」付けするな。
「えー、キリスト君って言ったほうが親しみがわくと思うんだけどなぁ」
「たしかにそうだけど、さすがに神様に君はダメかもね」
さすがの美樹もこれには反対した。
「しかたないなぁ……。ま、とりあえず、盛り上がろう!」
「雪音、脈絡なさすぎ」
美樹が微笑を浮かべながらツッコむ。
「そう?」
「そうだよ。でも、盛り上がるのは大事だよね」
「でしょ! よし、今日はオールで行こう!」
「いいねぇ! そうしよそうしよ!」
他人の迷惑を最小限にしか考えていない二人であった。
だが、そんな中、俺は一つの思いに突き当たる。
「なぁ、梶沼って呼ばなかったのか?」
このパーティの主催は美樹だ。なので、美樹が招待する。俺は雪音を招待したからてっきり、中学からの友人の梶沼も呼んだのかと思ったのだが、姿が見えない。
「え? なんで梶沼?」
美樹はポカンとした表情でこちらを見る。
「なんでって…、雪音と同じで小学校のころからの友人だろ?」
「…あぁー。別に呼ぶ必要ないかなって」
「うんうん。アレはそんな感じだよね」
友人に向かって酷い女子二人だ。ま、俺もただ気になっただけで、居なければ居ないで構わないのだけれど。
「そんなことより! 今日は皆に美樹サンタちゃんからプレゼントがあるよ!」
言うと美樹は肩にかけていた袋を高らかに掲げて、床に置き、袋を開ける。
「わーい、サンタさんからのプレゼントー!」
雪音は飛び跳ねそうな勢いで言う。再度確認しておくが、彼女が飲んでいるのはただのオレンジジュースのはずだ……。
「……え?」
見ると中に入っていたのは二つの御守だった。しかも、見た目上でモコモコさせるためか、綿やら布やらが袋一杯に押し込められている。嵩増しもここまで来ると清々しいほどだ。
「美樹ちゃん特製の御守!」
「わぁーい! 嬉しいなぁ、ありがとう!」
そのクリスマスプレゼントとは到底思えない代物を見て雪音は無邪気に喜んでいる。ここまで喜ぶ様子を見せられると俺がおかしいのではと勘違いしてしまいそうだが、そんなことはないだろう。
「あ、そうだ、晃仁、だいぶ前に言ったけど、お正月旅行があるからいろいろよろしくね!」
俺達に御守を渡すと突然美樹がそんなことを言ってきた。これが、先日言った懸案事項の残り一つだ。それはともかく、このクリスマスパーティで見る二人はやはり親友というのに相応しいと思えた。




