1/15
000 プロローグ
世界というものは一つではない。
並行世界という言葉を聞いたことがあるだろうか? 世界というものは多数存在し、今いるこの世界もその一つでしかない。
そして、この物語の舞台となる世界は今この小説を読んでいる、貴方のいる世界かもしれないしそうではないかもしれない。
この物語の舞台となるのはそんな世界のうちの一つ、中世ヨーロッパ調の世界観に似たどこにでもありがちな異世界だ。
この世界はかつて魔王により滅びかけた事がある。これまたありがちな展開だが、その魔王は突如として現れた勇者によって倒され、世界は平和を手に入れた。というのが一万年前の話。
今では魔王の存在自体眉唾ものの御伽話となりつつある。そんな歴史を持つこの世界だが、今、再び新たな歴史が刻まれようとしていた――