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問題点6 そんなのいちいち覚えてねえよ! ――過去取り組んだ問題の正誤を把握しているか?

 俺の的を得た指摘にしばらく黙っていた夏子だったが、やがて俺の顔を見ながら言った。


「でも、そもそも秀ちゃんって小テストの問題そんなにできてたの?」

「え? そ、それは……」

「答えを覚える以前に、まず答えを知るところから始めないといけないよね?」

「ま、まあそうかもな」

「それじゃ、やっぱりちゃんとやっておかないと」

「あ、ああ」


 今度は何も言い返せず、俺は反射的にうなずいてしまう。


「まったくもう……。こんなこともあろうかと、ちゃんとコピー持ってきたよ」


 そう言いながら、夏子がカバンから小テストを取り出す。あいかわらず準備のいい奴だな。


「うっわ、ご丁寧に答えも全部消してくれちゃって……」

「答えはこっちにあるから安心してね」


 そう言って、原本らしき小テストを見せてくる。うわぁ、全部満点だよ。知ってはいたけど、やっぱこいつスゲえな……。


「じゃあ、まずはそれぞれどのくらいできてるか確認するね」

「おう」


 俺が適当にうなずくと、夏子は小テストのうちの1枚を机の上に置いた。


「秀ちゃん、このテストの出来はどうだった?」

「どうだったって、大してできてねえよ」

「それじゃわかんないよ、全部できなかったってこと?」

「いや、そりゃ俺だって少しはできたぞ」

「そうなの? 具体的にどの問題ができてたの?」

「お前なあ、そんなのいちいち覚えてるわけないだろ」


 細かいこと聞いてくるなあ、こいつも。小テストの出来なんて覚えてるわけないだろ。


 夏子はと言えば、少し慌てた様子で「じゃあこれは? こっちは?」と次々にテストを見せてくる。


 もちろん、そんなのどうだったかなんて覚えちゃいない。俺が適当に答えていると、夏子は困った顔でつぶやいた。


「そっか……どのくらいできたかがわからないのかぁ……」


 なんでそんな深刻そうにため息ついてるんだよ。別にいいだろ、そんなこと。いちいち細かいヤツだな。






 今回は、過去取り組んだ問題の正誤を把握しているか否かについて見ていきたいと思います。

 と言っても、さすがに解いた問題の正誤をすべてきっちりとチェックしている人はまれかもしれません。ですが、特に出来が悪かった問題やよくわからない問題にチェックを入れているという人はそれなりにいるのではないでしょうか。

 そして残念ながら、勉強が苦手な人がそのようなチェックを問題に入れていることはほぼ皆無です。


 さて、正誤なりわからない問題をチェックしないことのデメリットとは何でしょうか。

 それは言うまでもなく、「自分はどこがわからないのかがわからない」状態に陥ってしまうことです。間違いやわからないところが特に多い箇所がわかれば、そこを重点的に学習して弱点を克服することが可能です。ですが、そうでない場合、そのような学習の軽重付けの判断が雑なものになってしまうのです。


 これは前回指摘した反復演習と密接な関係にあります。つまり、正誤を把握している場合は誤答が多い箇所については繰り返しの回数を増やして知識や解法の定着をはかり、正答が多い箇所はある程度繰り返す回数を減らすといった判断が可能です。

 特に、時間に制約がある試験直前期の学習などにおいては、このような判断に迫られる場面もあることでしょう。


 もしこのチェックがなされていなかったとしたらどうでしょう。繰り返そうにも、どこを繰り返せばいいのかわかりません。

 結果、カンに頼って適当に選んだ箇所を繰り返したり、1から全部どれも同じだけ繰り返すなどということになりかねません。まあ、ほとんどの人はそもそも繰り返し自体やらないので、それに比べれば数段マシではありますが。

 ですが、反復学習の精度を上げるのであれば正誤の記録はぜひともとっておきたいところです。これがあるのとないのとでは、学習効率も大違いです。解決編では、極力簡単に記録を取れる方法を紹介したいと思います。


 まとめますと、勉強が苦手な人は過去に取り組んだ問題の正誤を記録していません。そのため、いざ勉強を始めようとした時にどこを優先すればいいかわかりません。また、反復学習を行う際にも支障をきたします。これを防ぐため、きちんと正誤の記録を取っていく必要があります。




 さて、これで勉強が苦手な人の問題点が一通り出揃いました。次回、皆さんの学習状態をチェックシートで診断した後、いよいよ「超ズボラ勉強法」の内容に入っていきます。

 この「超ズボラ勉強法」を身につけることにより、これまでに述べてきた6つの問題点はすべて解消し、皆さんの成績をほぼ確実に向上させることが可能となります。皆さんもぜひ「超ズボラ勉強法」をマスターして、絶対に成績を伸ばしましょう!


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