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まず、良典くんと仲が良かった子に話を聞くことにした。
「君は吉田くん?
俺は、田中っていうんだけど、剣持良典くんのご両親に頼まれて、
あの事件を調べているんだよ、少し話を聞かせてもらえるかな?」
「あ、あの~、先生に話しちゃいけないって言われてるんだけど・・・」
「大丈夫だよ、学校からは剣持さんが許可を得ているし、
君から聞いたとは絶対言わないと約束するから。」
本当は、学校が指定したカウンセラー立ち合いの元でってことだが、
学校側の人間の前で本当の話が聞けるとは思えないからな・・・
「それじゃ・・・少しなら・・・。」
吉田くんの話では、イジメの中心人物は3人で、
親が県会議員と、PTA会長と、大会社重役をやっていて、
大人の前では良い子を演じているが、
子供同士では、かなり高圧的に振る舞っているようだ、
吉田くんは、「良典くんに味方すると、
自分もイジメられるかも知れなくて、助けられなかった。」と、
涙ながらに話してくれた。
(これで、イジメをしていた子供は目星がついたな、
あとは、良典くんが自殺を決意した決定的な要因の確認と、
消えた遺書の謎だな。)
そう、良典くんは遺書を残していたのだが、それが発見されていないのだ。
「山岡先生、K&T探偵事務所の田中一郎という者ですが、
少し話を聞かせていただけますか?」
俺は、良典くんの担任だった山岡 真先生から話を聞くことにした。
「ああ、朝の会議で教頭先生が仰っていた方ですね、
ご協力するように言われていますので、良いですよ。」
「それでは・・・
・・・ご協力ありがとうございました。」
俺は、とおり一辺倒なことを聞いてから、
最後に握手を求めた。
「いえ、あまり お力になれなくてすみません。」
握手した瞬間に、精神魔法で記憶を読み取った。
(やはり、お前か! じゅうぶん参考になったさ、
おかげでバラバラだったピースがそろったよ。
さて、良典くんの無念を、どうやって晴らすかな・・・)