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10 - 8

「よし、ベランダに降りたら、

もう『隠密おんみつ』の魔法はいらないだろ。」

一郎は、魔法を解除した。


建物周辺の警備に絶対の自信があるからか、

ジェイソン議員の私室にあるベランダ側の窓には、

施錠せじょうがされていなかったので、

「お邪魔しま~す。」と声を掛けると、

一郎は、窓をカチャンと開けて中に入って行った。


「だっ、誰だ、お前た『黙れ』『動くな』

・・・・・!・・・・・!」

一郎が、魔力を声に乗せて送ると、

ジェイソン議員は、話す事も、動く事も出来なくなって、

目を白黒させている。


「よしよし、では『障壁しょうへき』っと、

これで、この部屋の中の音や振動は外部に漏れないから、

もう、しゃべっても良いぞ、『話せ』」


「おっ、お前たちは何者だ!

どうやって、この部屋に入って来たのだ!

誰か!誰か居ないのか!」


「人の話を聞かないオッサンだな、

俺が、部屋の音は外に聞こえないって言ってたのを、

聞いて無かったのかよ。」


「あら、田中さんて英語が話せるのね。」


「意外そうに言うなよ、

確かに、これもちからの一部なんだがな。」


「私の質問に答えろ!」


「うるせえなぁ、そう怒鳴どならなくても聞こえてるっつうの、

俺たちが誰かと言えば、

お前がスナイパーに狙撃を依頼した標的と、

そのボディガードかな。」


「話しちゃっても良いの?」


「ああ、どうせ、このオッサンは話せなくなるだろうから、

構わないだろ。」


「消しちゃうの?」


「怖い事言うなよ、

俺は、直接手を下さないぜ、

オッサンが心を入れ替えれば、生きてられるかも知れないしな。」


「そこの娘は、

あの勘違かんちがいをしたジャップの娘か!?」


「俺は、こう見えて色々な経験をしているから、

相手を見れば、どんなヤツか大体分かるんだが、

このオッサンは、今の発言を聞いても、

とても改心するとは思えんな。」


「ワシに、こんな事をして「あ~はいはい、あんたら権力者けんりょくしゃっていうのは、

いちいち言う事が、ワンパターンなんだよな、

あんたに、やって貰う事は唯一ただひとつだ、

催眠さいみん』よし、掛かったな、

AHO団の連中に、明日の晩に重要な話があるから、

団体の本部施設に全員集まる様に言うんだ、分かったな。」

・・・はい。」


「よっしゃ、準備は完了したから、

これで、引き上げるとするか。」

一郎と華音かのんは、

再び『隠密』の魔法を掛けると、ベランダから飛び立った。



しばらく、空の旅を続けると、

街の光が見えて来たところで、

一郎は高度を落として地面に降り立った。


「ここって、どこら辺なの?」


「バージニア州にある、リーズバーグって街だな、

ここに、連中の施設があるんだよ。

ここで、明日の晩まで待機たいきだな。」


「こんな所で、外国人が居ると目立つんじゃないの?」


「ああ、別に街のホテルなんかを使わないから大丈夫だろ。」


「まさか、野宿するとか言わないでしょうね。」


「総理大臣の、お嬢様に、

そんな事をさせる訳ないだろ。

ちょっと、目立たない木立の方まで来てくれるか。」


「変な事しないでしょうね?」


「するか!」


一郎は、人目に付かない場所まで移動すると、

亜空あくうハウス』の入り口を呼び出した。

「我が別荘へ、ようこそ!」


「何なの、これ!」

一郎にうながされて、

入り口から、中へと踏み入れた華音は、

その中に広がる、高級マンションの一室の様な景色に、

驚きの声を上げた。


一郎は、華音に、総檜そうひのきづくりの大浴場や、

使っても使っても中身が減らない冷蔵庫などを説明して、

その度に、華音から驚きの声を引き出した。


「これだけの部屋を、どこに居ても使えるなんて凄いわね、

田中さんが、ウチのパパの秘書になれば良いのに・・・」


「前も言ったけど、俺は、

探偵って商売が気に入ってるからね、

当分の間は、仕事を変える気は無いよ。」


「何か、勿体もったいいな~。」


「そう言えば、華音ちゃん、

ホントに外泊しても大丈夫なのか?」


「ええ、パパには、

今回の事件を唯一ゆいいつ、解決出来る人に協力するからって、

言っといたから大丈夫よ。」


「そんな説明で、良く納得したな。」


「ええ、パパは私の言う事なら、

大概たいがいの事は聞いてくれるからね、

それに、パパの相談役の御門みかどって人が、

田中さんの所の、探偵事務所は信頼出来るって保証したのも、

大きいわね。」


「御門って言うと、響矢くんの実家か・・・

彼から、何か俺の事を聞いていたのかな?」


「政治家とかに、

大勢のクライアントを抱えてるとこに保証されるなんて、

田中さんとこって凄いのね。」


「前に、仕事の事で協力した事があったから、

良く言ってくれたんだろ。

そんじゃ、昼間買った着替えを渡すから、

明日の晩まで、自由にしててくれて良いぜ。」

一郎は、アイテムボックスから、

昼間、ニューヨークの量販店で購入した着替えを取り出すと、

華音に手渡した。

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