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10 - 3

「それで、そのお嬢様を何から守れば良いんだ?」


「パパの、先日の発言で大騒ぎになったのは知ってる?」


「何を言ったんだ?」


「田中くん、もう少し新聞とかニュースを見た方が良いわよ。」


「社長は知ってるのか?」


「知らない日本人の方が珍しいと思うわよ。」


「そんなに騒ぎになってるのか?」


「在日米軍基地関連の記者会見で、

遠く離れたアメリカより、

近くの、ロシアや中国と仲良くした方が良いんじゃないかって、

発言したのよ。」


「現職の総理大臣がか?

そりゃ、大騒ぎになっただろうな。」


「当たり前でしょ、

国の内外に大きな波紋を投げ掛けたのは、間違い無いわね。」


「パパとしては、

もっと、アメリカに日本に対して協力的な態度を示して欲しくての、

発言だったらしいんだけど、

お蔭で、日本は元より海外からの、

抗議こうぎ脅迫きょうはくの電話やメールが凄いらしいわ。」


「今回の襲撃しゅうげきは、その中の一つって事か。」


「ええ、パパの周りは優秀なSPで固められているから、

警備が薄い、私を狙ってパパへの警告にしたかったらしいわよ。」


「警告って、

あんな、大口径の狙撃銃で撃たれたら、

腕に当たったとしても、使い物にならなくなっちゃうだろ?」


「脅迫する側としたら、

私の腕が使えなくなるなんて、きっと些細ささいな問題なのよ。」


「ふむ、そりゃ確かに気に喰わない連中だな・・・

社長、どうする?

この依頼を受けても良いか?」


「田中くんが受けたいなら良いわよ、

今の華音かのんさんを完璧に守れるのは、

多分、田中くんにしか出来ない事だと思うから。」


「あら、社長さん・・・姫花ひめかさんて読むのかしら?

田中さんの事を凄く信頼してるんですね。」

華音は、姫花からもらった名刺を見ながら言った。


「ええ、その読み方で合ってるわよ、

それと、信頼と言うよりも知ってると言った方が正しいわね、

田中くんは、よく自分で自分の事を『地球最強』って言ってるけど、

あながち間違っていないんじゃないかと、私は思うわ。」


「それって、この前、

この弾丸を受け止めたちからの事?」

華音は、ポケットからひしゃげた弾丸を取り出しながら言った。


「それ、警察に渡さなかったのか?」


「警察に、田中さんが手で受け止めたなんて言っても、

信じてもらえる訳が無いじゃない、

それなら、これを渡しても意味が無いって思ったのよ。」


「警察は、狙撃のかくたる証拠として探してると思うぞ?

弾丸が発見されなきゃ、犯罪として立証出来ないんじゃ無いのか?」


「そうなの?」


「社長、この弾丸って、

県警の最上もがみさんに何とかして貰えないかな?」


「ちょっと待ってね、

今、連絡取ってみるわ。」

姫花は、スマホと取り出すと、

知り合いの県警に勤務している最上警視正もがみけいしせいに、

連絡を入れてみている。

「はい、はい、そうらしいんですよ・・・分かりました。

じゃあ、私がお届けする様にします。」

姫花は、ピッ!とスマホを切ると、

一郎と華音の方に向き直って告げる。

「やっぱり、警察の人達が血眼になって、

その弾丸を探しているらしいわよ、

今から、私が県警に行って最上さんに届けてくるから、

その弾丸を貰えるかしら。」


「その~、やっぱり警察の人に怒られるのかな?」


「私が、あの公園の近くで拾った事にしてくれるって言うから、

大丈夫だと思うわよ。」


「良かった~、

済みませんけど、お願いします。」

華音は、ホッとした様に弾丸を姫花に手渡した。


「最上さんは、狙撃手の事は何か言ってたか?」


「ええ、事件解決に協力してくれるならって、

条件付きで教えてくれたわ、

犯人の名前は、ゴルダ・マルティネスって言って、

アメリカ国籍の外国人って事よ。」


「何か、名前が知られた狙撃手なんだろ?」


「ええ、そのスジでは『ゴルダ17(セブンティーン)』って呼ばれている、

有名人らしいわよ。」


「何で、17なんだ?」


「17歳年上の、あねさん女房を貰ったんだって。」


「どうでもいい情報だなソレ!?」


「じゃあ、私は県警まで行って来るわね。」


「おう、行ってらっしゃ~い。」

「ご迷惑をお掛けします。」


姫花が出掛けると、

今度は、一郎がスマホを取り出して連絡を取り始める。


「どこに連絡してるの?」


「ああ、狙撃手の事が何か分からないかと思ってな、

知ってそうな人に聞いてみるよ。」

しばらくコールをすると、

相手が出た様だ。


『ヘロー、イチロー、

そっちから連絡くれるなんて珍しいわね。』


「お久し振りですジャネットさん、

実は、ちょっとおたずねしたい事がありまして、

お電話したんですよ。」

電話の相手は、城ヶじょうがさき博士はかせ誘拐ゆうかい事件の時に知り合った、

ジャネット・フジサキであった。


『私に聞きたいって事は、

普通に調べても分からない事って訳ね。』


「ええ、アメリカ国籍の狙撃手のデータなんで、

こちらじゃ調べようが無いんですよ。」


『私も、例の事件でりたんで、

とうな、仕事に付こうと考えてCIAに就職したから、

どこまで調べられるか分からないわよ。』


「CIAでのジャネットさんの仕事が、真っ当かは分かりませんが、

分かる範囲でお願いします。」

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― 新着の感想 ―
[一言] "遠く離れたアメリカより、近くの、ロシアや中国と仲良くした方が良いんじゃないか"・・・主人公が護る対象の発言としては、許容できないレベルですね。 ここまで面白かったのですが、残念です。
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