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「お主は、その剣を使いこなせると言うのか?」
「ええ、何しろ神様から、俺専用に頂いた剣ですから。」
「何!?お主は神に会ったと言うのか!」
「はい、元々の俺は普通の学生でしたが、
神様から、村長さんの様な特別な力を与えられて、
探偵という仕事を始めたんですよ。」
「うん?何故、そこで探偵なんじゃ?」
「はい、なるべく、他の人に力を知られずに、
困っている人を助ける事が出来ないかと考えて、
思いついたのが探偵だったんですよ。」
「なる程の・・・
ワシも『白蛇様』の封印を護るという、
お勤めがなかったら、
そんな事を、していたかも知れんのう。」
「何らかの力を持つと、
その力の使い道を考えるもんらしですね。」
「そんなもんかも知れんのう。」
「それで、『白神様』は、どこに封印されているのですか?」
「廃校の地下じゃよ。」
「廃校って、郷土資料館になっている、
あそこですか?」
「そうじゃよ。」
「灯台下暗しとは、
良く言ったもんだな、
訪れた時に全然気付かなかったぜ。」
「それはそうじゃ、
あそこには、この村で一番強力な結界が、
施されておるからのう。」
「何故、あれ程の結界が施されていたにも関わらず、
20年前の子供たちや、
今回の大学生たちは『白蛇様』に魂を食べられてしまったんですか?」
「20年前には、あの分校も廃校にはなってなくてのう、
村の子供たちとの交流を深めるために、
あの分校に泊まり込んでおったのじゃ、
それが運悪く『白蛇様』の結界近くで怪我をした様で、
結界が血で穢されてしまったんじゃ、
ワシらは何とか村への被害は食い止めたが、
あの子らは救えんかったんじゃ・・・」
村長さんは、痛切な表情で語っていた。
「今回の大学生たちは何で、こんな目に?」
「こやつらは、無断で夜の廃校に入り込んで、
肝試しをしていたらしいんじゃ、
朝になって村の者が気付いた時には、
もう、この状態じゃったんじゃ。」
「最近の若者に増えている、
冒険と無謀をはき違えたってヤツか・・・」
「彼らも怪我をしてたんですか?」
「いや、どうも月のもんの女子がいたらしいの。」
「ああ、そう言う事ですか。」
「御剣くんは分かるのか?」
「ええ、女性が生理の時に、
神事に関われない事は良くあるんですよ。」
「へ~、そうなのか、女子は大変だな。」
「ええ、命を生み出して下さる、
尊い存在ですからね。」
「よし、『白神様』が居る場所も分かった事だし、
神退治へと洒落込むとしますか。」
「お主ら、本気で『白蛇様』が退治出来ると思って居るのか?」
「ああ、いつまでも封印が持つとは考えられないしな、
実際、この村の封印は大分弱まってるんじゃないか?」
「村長さん、日本で・・・いや、この地球で、
『白蛇様』を倒せる可能性を持つ者は、
田中さんを置いては他に居ないと思いますよ。」
「そうじゃな、村の結界が弱まって来ているのは確かじゃし、
ワシが死んだ後の者達に、この災厄を残して逝く訳にもいかんか・・・
分かった!微力ながらもワシも協力するとしよう。」
「「ありがとうございます。村長さん。」」
一郎は、響矢、村長と共に、
廃校で、現在の郷土資料館となっている建物へと向かった。




