表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/57

ケース9 崎玉大学冒険部失踪事件

K&T探偵事務所は朝9時出勤である、

今日も、いつもの様に、

一郎が9時5分前に事務所のドアを開けて出社して来た。

「おはよう~。」


「おはよう、田中君。」


「今日は、何か依頼が入ってる?」


「田中君向けの依頼は無いわね、

県警の最上もがみさんから頼まれた、調べもの仕事があるけど、

私の方で対応しておくわ。」


「了解。

では、俺は現在の世界情勢でも勉強しているかな。」

一郎はコンビニで購入してきた週刊誌を、

応接セットのソファに寝転がって読み始めた。


プルルルルッ!

週刊誌を読み始めてから30分程過ぎた頃、

一郎のスマホが着信を告げた。

「はい、田中です。」


『田中さんですか?御門みかどですけど、お久し振りです。』

電話の相手は、ストーカー事件で知り合った、

陰陽師おんみょうじの御門 響矢きょうやだった。


「おう!御門君か、久し振りだな。

俺に連絡してくるって事は、何か問題でも起きたのか。」


『はい、僕の手には余りそうな問題なので、

田中さんに、ご協力頂けたらと、ご連絡しました。

詳しい内容を、ご説明したいので、

田中さんのお時間が取れる様でしたら、

直接お会いしてお話したいのですが、

いかがでしょうか?』


「ああ、今日は暇だから良いぜ、どこに行けば良いんだ?」


『僕は今日、午前中は大学の授業に出ていますので、

午後1時に前に話をした、あの喫茶店でいかがでしょうか?』


「ああ、あそこか、分かった1時だな。」


『はい、よろしくお願いします。』


「了解。」

一郎は電話を切った。




カラン!カラン!

喫茶店のドアに、ぶら下げられたベルが音を発てた。


「いらっしゃいませ。」

喫茶店のマスターが出迎えてくれた。


「すいません、ここで待ち合わせなんですけど。」


「ああ、御門くんですね、右手の奥のテーブルでお待ちですよ。」


「ありがとうございます。

あと、ナポリタンとマンデリンをお願いします。」


かしこまりました。」


一郎は、マスターに聞いた席に向かった。


「お待たせ。」


「いえ、こちらこそ、お呼び立てして申し訳ありません。

何か頼みますか?」

響矢がメニューを持ちながら聞いて来た。


「いや、マスターに頼んで来たよ。」


「そうですか、では、早速ですがお話させて戴きます。」


「おう。」


「実は、まだ事件沙汰じけんざたにはなっていないのですが、

うちの大学の冒険部の部員8名が行方不明になっているんですよ。」


「事件沙汰になっていないと言うのは?」


「今の段階で、彼らが行方不明になっているのに気付いているのが、

僕だけだからです。」


「行方不明になっているらしき人の中に、知り合いでも居るのか?」


「ご明察です。

僕の友人でかがみってヤツと、鏡の彼女が冒険部に所属しているのですよ。」


「それで、御門くんが行方不明と位置付けた根拠は何なんだ?」


「はい、鏡は、僕が小学生の頃からの友人なのですが、

僕の能力を知っている数少ない一人なんですよ、

その鏡が所属している冒険部が、

昨日までの連休を使って合宿を行ったのですが、

合宿地と言うのが宮城県の神無村かみなしむらって所だったんですよ。」


「神無村って、

昭和初期に、神隠し事件があった。あの村か?」


「田中さん、よくご存じですね、

そうです。あの事件があった神無村です。」


「そうか、俺はこの手の事件が好きだから、

変わった事件が載ってる本は、結構読んでるんだよ。」


「そうですか、そのスジでは有名な事件ですからね、

その手の本には良く取り上げられる事件の一つですよね。」


「そうだな。」

宮城県にある神無村の神隠し事件は、

ミステリー関連の本には、良く取り上げられる題材で、

昭和初期に、遠足でこの村の近くにある滝を訪れた、

引率の教師を含む児童ら33名が、

忽然こつぜんと消え去ったと言うもので、

大規模な山狩りが行われたが、一つとして形跡が掴めなかったそうだ。


「それで、鏡も、そう言う話が好きなものですから、

当然、合宿地に決まった村の事は知っていた訳です。

鏡は気が進まなかった様なんですが、

鏡の彼女が、かなり乗り気だったもので、

参加せざる負えなかったんですよ。

そこで、用心深いアイツは保険を掛けておいた訳ですね、

毎晩、僕に連絡を入れる手筈てはずになっていたんですよ、

4連休の2日目までは連絡が来ていたのですが、

それ以降の連絡が途絶えてしまいました。」


「何で、合宿地が、あの村に決まったのかね。」


「それが、冒険部の部長の親戚が、あの村で民宿を経営しているそうで、

格安で泊まれるのを理由に決めたそうです。」


「その、民宿には聞いてみたの?」


「はい、電話番号を聞いていたので掛けてみたのですが、

2日で宿を引き払ったので、それ以降の事は分からないとの事でした。」


「その民宿って、冒険部の部長の親戚なんだろ、

行先を聞いていないって、何かおかしくないか?」


「僕も、おかしいと思うんですよね、

それで、冒険部に所属している他の部員の知人を探して、

連絡してみてもらったんですが、

誰一人、連絡付かないんですよ。」


「なる程ね、

そりゃ、何らかの事件に巻き込まれたと見た方が良さそうだな。」


「はい、まだ2日しか経っていませんが、

あの事件に似ている気がして、田中さんに連絡したんですよ。」


「よし、日本を代表するミステリーに関われるなんて機会は、

なかなか無いから、仕事抜きで付き合ってやるぜ。」


「宜しいのですか?」


「ああ、俺の場合は仕事は趣味みたいなもんだから、

別に利益を上げる必要は無いんだよ。」


「田中さんが、ご協力して頂ければ助かります。

僕は、心霊関係なら対処できますが、物理的な方は素人ですから。」


「それで、まずは何から調べる事にするか?」


「やっぱり、神無村の民宿からにしようと思います。

今日、これから帰って準備を整えますので、

明日、宮城に向かいたいと思いますけど、いかがでしょうか?」


「おう、いいぜ、社長には何日か休むって言っとくわ。」


「それでは、お願いします。」


「おう。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ